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 クリエイティブな会議を行うには、適した人数というものがあります。
 かつてスティーブ・ジョブズは、米国政府から有識者会議への参加を打診された際、参加人数が多いことを理由に断ったことがあるそうです。
 私も支援先企業で真剣な会議をする場合は4~5人以内の参加者がベストだとおすすめしています。話し合う案件に深くコミットしている人間だけとなると、それくらいの規模になるはずです。1人でも傍観者が混ざると会議の温度は下がります。

 そして、そこには決定権を持つ人間──中小企業であれば社長、大企業なら役員か部長などが含まれているのが理想です。導き出された結論の可否が即座にわかるのですから、会議が効率的なものになります。
 さらに、ある解決案がNGであったとしても、その理由は何かということがその場で判明するので、討議の方向性が絞られ、ムダがありません。

 しかし、多くの会議では組織のトップなど最終的な意思決定者が出席できないケースがほとんどでしょう。そうした不便な状況をプラスに転化するのが、決定権者の名前を活用する方法です。

〈例〉社長はそちらの意見ではないですね。
〈例〉A社の部長はOKしないと思います。
〈例〉A部長やB課長とも話しましたが、その案は難しいだろうとの意見でした。

 このように反対をされると「その方向はダメか」と、あきらめムードが出ます。

 反対に、その場に決定権者がいる場合なら、あなたが発言をするときにその人の名前を入れて話すと、部下たちは聞かざるを得ません。そして反対もしづらくなります。

〈例〉小池さんの案に、私なりの考えを足してみました。

 上司の名前を挙げ、「その案に近いのですが」と引用すると、キーパーソンの意見をないがしろにすることにもなるので否定ができません。

 また、決定権者などでなく反対意見を出している人、特に聞いてほしい相手の名前を呼びかけて発言するのも有効です。

〈例〉佐藤さんのおすすめの媒体も検討しつつ、低予算のプレスリリースから着手するのがいいと思います。
〈例〉田中さん、田中さんの意見とは少し違うのですが……。

 名前を言われた相手はとりあえず、耳を傾けざるを得ません。呼ばれた人より職位が下の人も口をはさみづらいのです。

〈フレーズテクニック〉比較する

 誰かや何かと比較されて、いい気持ちになることはあまりないでしょう。けれど、次のような比較であったらどうでしょうか。

〈例〉福田君が配属される前と比べると、部の成績は上り調子だね。
〈例〉キミの字は汚いけれど、以前の部下に比べたらマシだよ。

「人気俳優よりイケメンだ、カワイイ」などの比較も、大げさとわかっていても評価されていることが伝わるフレーズになります。