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「まちの保健室」~ 会話から始まる健康相談所 ~

五島うどんの里で行われた「まちの保健室」の様子

春が一段落した5月中旬、有川地区にある五島うどんの里で長崎県看護協会上五島支部の方々が健康相談を行いました。

血圧測定や体脂肪測定を行いながら「病院の先生や看護師さんに言うまでもないかな?」というような、ちょっとした相談事が話せるこのイベント。

この取り組みについて、長崎県看護協会上五島支部長の中尾 由香さんと、上五島病院で看護部長をされている頭島 利江子さんのもとを訪ねてお話を伺ってきました。 


リラックスして健康相談できる場所を目指して

「上五島の人は、ご遠慮されて自分の体のことをあまり話さない方がいらっしゃいます」と話してくれたのは、看護部長の頭島さん。確かに筆者の周りでも、自分の体の痛みが強くなってきてはじめて「あのときに先生に言えばよかった」という話をよく耳にします。

病院内でいろんな方々と診察を待っている間、「他の人より丈夫に思える自分に、あまり診察に時間を使ってもらいたくないな」とか、先生から「どこか痛いところはありませんか?」と、改めて尋ねられると「そこまで痛くないから言わなくても大丈夫かも」という思いをしたことはありませんか?

こういったことはお医者さんや看護師さんも感じ取っているようで、「肩の力を抜いて話していただけるように心がけているのですが、なかなか難しいところがあります」と中尾さん。
 
そんな経験を踏まえ、病院から外に出て気軽に話せるような相談場所を作ろうと、病院の外で行う健康相談所「まちの保健室」という取り組みを始めたそうです。


突然始まったコロナ禍の影響

これまでは奇数月の第3日曜日に、上五島地区にあるメル・カピィあおかた直売所の一角をお借りして、買い物に来られた方々の血圧や体脂肪測定などを行っていました。

しかし、数年前から始まった新型コロナウイルスの影響に伴い、イベントの開催が難しくなってしまいます。

ですが、こういった影響も、密の回避の工夫やワクチンの接種、そして、新型コロナウイルスと共存していこうという世間の意識の変化などから、新型コロナの影響が落ち着きをみせていた今年5月、数年ぶりに「まちの保健室」を行うことを決めたそうです。
 
頭島さん
「島内の数店舗が集まるお買い物のイベントが、5月15日の日曜日に有川地区の五島うどんの里で開催されるというお話を聞いたので、主催者の方と連絡を取り、共同開催のご相談に行きました」。

 
こうして共同開催が決まり、今回、ある看護師さんからの提案で、青方幼稚園・有川幼稚園・認定こども園若松保育所の園児たちに「将来の夢」を書いてもらい、そのパネルの展示と共に「まちの保健室」を行うことになりました。


会話から始まる健康相談所

五島うどんの里でのバザールの様子

5月15日の当日。イベント会場の入り口では、検温や手指消毒のご協力の案内を笑顔で行う看護師さんたちの姿がありました。
 
イベント主催者
「看護師さんの元気が伝わったのか、来場された皆さんが何だか楽しそうで(笑)。それに普段のイベントのときとは違い、家族連れの方々がたくさん来てくださったのが嬉しかったです。

それと印象的だったのが健康相談を終えられたあと、自分の血圧や体脂肪率の計測結果をネタにして、冗談を交えながら笑い合う姿があちらこちらで見られたのが、とても微笑ましかったです」。

さらに、園児たちが書いた将来の夢の展示パネルがある場所では、自分が書いたものを見つけて喜ぶ子どもたちの姿と、それを見守る方々の笑顔も見られました。

園児たちが書いた将来の夢パネル

 まちの保健室は、午前10時から正午までの2時間程行いましたが、健康相談所に約130名もの方々が立ち寄ってくれたそうです。

 「健康診断を通して、いろんな方といろんな話ができて本当に良かったです。参加してくれた看護師たちも『楽しかったね』と口々に言っていて、コロナ禍で活動が出来ていなかった期間が長かったので、会話から始まるコミュニケーションの大切さを改めて実感しました」と、中尾さんと頭島さん。

お話を伺っていると、会話をすることで病気に繋がる何かを発見できたり、相談者が自分の体のことを自分の言葉で話すことで気分が変わることもあるかもと思ったので、こういったことも大切なんだなと感じました。

何気ない会話から始まる「まちの保健室」。2022年11月20日の日曜日、有川地区にある五島うどんの里で、朝10時から12時まで健康相談を行う予定です。コロナ禍ということもあり、今後も不定期開催が続きそうですが、長崎県看護協会上五島支部のホームページや開催案内のチラシなど、見かけられたら健康相談をしに訪ねられてはいかがですか。


写真・文 佐々田 晋次

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