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『広告がなくなる日』にまつわる一連の体験

牧野圭太さんのTwitterを拝見してとても共感したので、青山ブックセンターに行ってきました。

青山ブックセンターに行って、体験して、『広告がなくなる日』を読んで感じたことをまとめました。いや、まとまってないんですけど、書きました。
なかなかに長くなったので「青山ブックセンター行った編」と「『広告がなくなる日』読んだ編」にせめて分けておきます。ご興味がある方だけでも読んでいただけたら嬉しいです。ではどうぞ。


①青山ブックセンター行った編

青山ブックセンターは大好きな書店さんで、立ち入ったら何か買わずには出られないお店。(場所的にも何かついでに寄るというよりは「そこ目的で行く」ので自然と購買率は高くなる)

『広告がなくなる日』は入ってすぐ右の棚にばーんと陳列されていました。表紙はオレンジジュース多めのカシスオレンジみたいな鮮やかでヘルシーなカラー。可愛い。開いてみると、前書きは普通の文字組み。本題に入った瞬間に文字が90度回転して縦開きの本へ。「うわ、読みにくい!」というのが第一感(なお後に感覚が変わります。後述)。読みにくいも含めての体験、とTwitterに書かれていた気がしたので、何はともあれ買ってみよう。

周りには関連書籍も並べられていて、これこれ、こういうのが書店ならではだよね〜と思いながらぱらぱらと。「持続可能なアイデアつくり方を誰も教えてくれなかった」「生態系のつくり方はPPPPP」というフレーズに引っかかり、マイノリティデザインも合わせて購入決定(読んでる途中ですがめちゃくちゃ面白い)。

「青山ブックセンターに行くととりあえず全部の棚を全部見る」というのが恒例になっているので、奥に向かいつつWebデザイン系の棚へ。「ギリギリ全部の棚を見て回れる広さ」というのも青山ブックセンターの魅力かもしれません。
デザインのドリルいいな〜。2も出てるのか。今受けているフォトショ&イラレ講座を一通り受講し終わったら買おう。『ノンデザイナーズ・デザインブック』も欲しいな〜(今日は保留)。

建築〜インテリアのコーナーはいつも時間がかかります。ポートランド行きたいなぁ、街を体感して、街の研究をしてみたいなぁ、アアルトやっぱり好きだな。心の本棚に欲しい本がどんどん追加されていきます。あ、岸本千佳さんの『不動産プランナー流建築リノベーション』読もう読もうと思いながら買い損ねていたから買って帰ろう。あ、中村好文さんの『普通の住宅、普通の別荘』も今取り掛かってる事に関連してるから買いだな。

奥から入り口側へ戻りつつ小説コーナーで『推し、燃ゆ』発見。こちらはすでにKindleで読んだよ。推しは命に関わるからね、うん。

ビジネス書コーナーで『自分で「始めた」女たち』発見。借りて読んだけどやっぱ手元に欲しいから買う。(なお編者のグレース・ボニーさんはインテリア業界で有名な『世界の楽しいインテリア』という本も作られていますがこちらは廃版だと思うので図書館などでどうぞ)

雑誌コーナーも忘れずに。WIREDの買いそびれた号発見。ラッキー。

CAMPFIREで申し込んだソノバというバッグが4月中旬ごろに届く予定なので、スケッチブックも買っておこう。

1時間で20〜30冊くらいは手に取っては戻し、を繰り返したでしょうか。最終的には写真の7冊を購入することにしました。
当日は青山ブックセンターに来ることが目的だったので、リュックで出かけてきました。買った本はリュックに入るだろうと思って「袋はいいです」と言ったのに、入りませんでした。「すみません、やっぱり袋ください」という恥ずかしさ。バイキングで好物を取りすぎて食べ切れなくなった子供か。レジのお姉さんの生暖かい笑顔が印象的でした。きっと「私は最初から入らないって知ってたわよ」と思われていたことでしょう。

②『広告がなくなる日』読んだ編

二重になった紙袋(さすが青山ブックセンターさん分かってらっしゃる)を手に、シュワっとしたもの(ただしノンアル)が飲みたくなり近くのサードバーガーへ。ジンジャーエールを注文をして席につき、何はともあれ『広告がなくなる日』を読む。縦開きなんて読みにくいわやっぱり。ぺら、ぺら、ぺら。

縦開きの上半分がビジュアル、下半分が文章という構成なので、サクサク読んで三分の一ほど進んだところで気づきました。

あれ、この本、見開きで完結している・・・?

答えは85ページにありました。

「本」ではなく、プレゼンテーション」のつもりで。

なんとIllustratorで本書をお書きになったとのこと。見開きに1テーマ、綺麗に収まっています。(え、すごい。これは相当文章力がないと無理なのでは)「一つの情報を読み終えて次の情報へ移る」という意味と「ページをめくる」という行為がリンクしているのがとても快適。
広告代理店の新入社員になったつもりで、めちゃくちゃ分厚いプレゼン資料(※社外秘・門外不出)のつもりで読んだら気分はクリエイティブディレクターの卵。なんちゃって。
従来の本は、ページがなくなれば次のページへ、というのが当たり前でしたが、縦を横にしただけで可能性が広がるんですね。目線が横に広がる分、思考も広がるような気もします。単純ですが、人間の感覚ってそんなものかもしれません。


第7章 Arts On Science
「アーツ」とは(中略)言ってしまえば「人間的であること」だと考えています。 

この章を読んで、「ああ、これは21世紀のアーツ・アンド・クラフツ運動なのだな」と思いました。

アーツ・アンド・クラフツ運動(Arts and Crafts Movement)は、イギリスの詩人、思想家、デザイナーであるウィリアム・モリス(1834年-1896年)が主導したデザイン運動である。美術工芸運動ともいう。1880年代から始まった[1]。

ヴィクトリア朝の時代、産業革命の結果として大量生産による安価な、しかし粗悪な商品があふれていた。モリスはこうした状況を批判して、中世の手仕事に帰り、生活と芸術を統一することを主張した。モリス商会を設立し、装飾された書籍(ケルムスコット・プレス)やインテリア製品(壁紙や家具、ステンドグラス)などを製作した。 ※Wikipediaより

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うちにあるモリス(お取引先様からの頂き物)。めちゃくちゃ可愛い。これは「いちご泥棒」という柄です。有名なのでどこかで目にしたことがある方もいらっしゃると思います。川島織物セルコンというカーテンメーカーでは、この柄が織りで表現されたカーテンを扱っていまして、見ているだけでため息が出るくらい素敵です。あと、数年前にピュアモリスというシリーズも出ていまして、こちらはホワイトを基調とした現代の住宅でも取り入れやすくなっています。話が止まらなくなるのでこの辺でやめますが、

つまり産業革命で世の中が大きく変わった後に起きたアーツ・アンド・クラフツ運動で生み出されたものが、世紀を超えても熱く語られるだけの魅力・価値を持っているということです。
「情報革命」がすでに起きている現代。これからの時代で生み出され、長く愛される「広告」は、そういう「価値」を持ったものなのかもしれません。


そして、一番刺さったのはラストの言葉。

「意思」と「美意識」こそがより良い世界をつくる「資源」になる。

一般庶民からすると、広告って敵なのかなぁ?味方なのかなぁ?って分からないところがあるんですよね。「ターゲット」とか、元は戦争用語らしいですし。牧野さんが書いていらっしゃる通り、CMタイムは「いらない時間」ですし。(一消費者の正直な意見ですみません)

でも、広告のパワーはものすごい。「素敵に見せる力」「魅力を伝える力」はピカイチ。そういえばユニクロのチラシは「お客様へのラブレター」なんですって(ソースは柳井正氏)。本気の愛を伝えるのも広告。本当に良いものなら、伝えてもらったら嬉しいし、出会えたらハッピーだし。

「意思」と「美意識」(美意識≒真善美と解釈して)がある広告なら、それはきっと私たちの味方であり、良い世界を作っていく仲間なんだろうと思います。

つれづれまとめ

私には広告が何なのか?ということは、まだよく分かっていません。ただ一つ言えることは、『広告がなくなる日』という一冊の本、それにまつわる取り組みのおかげで豊かな体験ができたということです。
休日に書店に出かけて行って思う存分、本を堪能できたこと、縦開きの本の新体験、思考が広がる感覚、産業革命後の時代と現代の共通点の気づきなど。

バーチャルな世界で買い物も娯楽も学びも、やろうと思えばできてしまう時代に「体験する」ということの価値は逆に上がり続けるんだろうと思います。「体験」を促す情報(≒広告?)の価値、体験できる場の貴重さを、これから私たちは実感していくのではないかと感じます。(ウィズコロナ、アフターコロナの世界では殊更に)これからも体験できるチャンスを逃さないように生きていきたいと思います。

(最後に、うららかな春分の日に、書店に足を運び、素晴らしい体験をするきっかけをくださった牧野さんに心からの感謝を。ありがとうございました!)

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