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青春は密、だから

「宮城の皆さん、東北の皆さん、おめでとうございます!」

ん、インタビュアーかな?と思ったら須江監督の第一声でした。
いやいや、おめでとうはあなたですよ。
須江監督、そして仙台育英高校の皆さん、優勝おめでとうございます。
100年越えられなかった白河の関、越えましたね。

甲子園の決勝が終わると、夏も終わりだな、と思います。

2018年、こんなnoteを書きました。

例年、球児たちからたくさんパワーをもらって、ちょっと涼しくなってきた今からの時期が、1年で一番やる気が出ます。
何か新しいことを始めてみようかな、とか、あれに本腰を入れてみようかな、とか、そういうことが心に浮かびます。

ですが、今年はいつもと少し違う気持ちでいます。

それは須江監督のインタビューを聞いて湧き上がってきました。

(今年の3年生はコロナ禍での入学だったことについて質問を受けて)
「僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんですね。
青春って、すごく密なので
でもそう言うことは全部ダメだ、ダメだと言われて、
活動しててもどこかでストップがかかって、
どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で、
でも本当に、諦めないでやってくれたこと、
でもそれをさせてくれたのは僕たちだけじゃなくて、
やっぱり全国の高校生のみんなが、本当によくやってくれて、
例えば今日の下関国際さんもそうですけど、
大阪桐蔭さんとか、そういう目標になるチームがあったから
どんな時でも諦めないで、暗い中でも走っていけたので、
本当に、全ての高校生の努力の賜物が、
ただただ僕たちが最後ここに立ったというだけなので、
ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います」

仙台育英 須江監督 優勝インタビュー

(LIVEで見て泣いて、文字起こししてもう一回泣いた……)

コロナ禍で高校生活が始まった今の3年生は、楽しいことも頑張りたいこともたくさん我慢して今日までやってきたんだな、ということがこの短いインタビューの中にぎゅっと凝縮されていました。
優勝して嬉しいけれど、嬉しいだけではなくて、やるせなさと、諦めそうな気持ちと、でも諦めないでここまでやってきた、張り詰めた気持ちと。
全国の高校生の想いを言葉にしたら、こんな言葉になるんだろうというインタビューでした。本当に素晴らしかった。

そして、こんなことを思いました。

それは、子どもが子ども時代を思う存分味わい尽くせる社会を作るのが、大人の責任であり、やりたいことなんだ、ということです。

高校野球には、結構いろんな批判があります。真夏にやるのか、とか、(一応の球数制限はできたけれど)球児を酷使している、とか。地元出身の選手がほとんどいない高校が都道府県代表として出す意味があるのか、とか。

個々の賛否は今日は置いておくとして、私は一つだけ、間違いなく素晴らしいと思っていることがあります。
それは、子どもが「そこを目指したい」と思える、甲子園という舞台を(大人が)用意し続けてきたことです。甲子園で試合を重ねるごとに強くなる選手たちを見ていると、高校生の可能性って無限大だなぁ、すごいなぁ、と思う場面がたくさんあります。(大会運営についてはまだまだ改革が必要だと思っていますし、できれば野球に限らず多彩な分野でそうあってほしいと思っていますが、それも置いておいて)

「青春は密、だけど」の世の中で、「青春は密、だから」を必死で押し進め、工夫して乗り切ってきたのが須江監督をはじめとする、全国の指導者、関係者の方だったのだろうと思います。
私は頑張った全国の大人たちにも心から拍手を贈りたいです。
本当にお疲れさまでした。

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