ミクシィのスポーツ部門の分析
こんにちは。
ミクシィ(以下、MIXI)のスポーツ部門について興味を持つきっかけがあり、憧れのブロガーさんのように、今回わたくしも発信してみようかなと筆を持った次第です。(土佐日記風味)
今のMIXIって何してるの?
SNSを運営、次に『モンスト』で名を上げ、そんなMIXIが現在、第二の柱にしようとしているのがスポーツ部門です。
決算説明会の資料からは、本気度が伝わってきます。しかし、ちょっと勢いのある企業らしい、お茶目な失敗も。
今回は、MIXIのスポーツ部門について紹介していきます。
プロスポーツチーム運営
『千葉ジェッツふなばし』と『FC東京』、この2つのプロスポーツチームの運営事業です。主な収入源は、チケット、スポンサー、グッズの販売の3つとなります。
千葉ジェッツふなばし
MIXIは、2019年に千葉県船橋市を本拠地とする『千葉ジェッツふなばし』を買収しています。強いチームが集まる東地区を勝ち続けるバスケの強さもさることながら、2時間の観戦時間を暇にさせない、室内でできる最高峰の演出が評価を集め、女性客をつかんでいます。
コロナ前は、チケットが買えない、平日じゃないと席が開いていない、例え立ち見でも、遠くの仮設パイプ椅子でも見たい!という状態で、2019年からチケット価格を変動制にすることでさらなる収益増につなげています。(人気席は元値の3倍だったそうで・・・)
2024年に南船橋に新アリーナを建設、アクセスも良好。近くにはららぽーと、IKEAもあり経済効果も期待でき、コロナ明け×新アリーナ効果がどこまで行くか注目が集まります。万人単位で観客を動員するサッカーに比べ、小さな経営規模で運営できる(選手も12名程度、常勤のスタッフも少なく、数億円で参入が可能)ことで、金のなる木となる可能性も高いと私は考えています。
FC東京
こちらは本拠地を東京に構える好立地ながらも、監督もコロコロ変わり、GMの「よほどのこと」がない限り(監督を)支えるという発言がトレンド入りするネタ要素もある(その後結局監督は交代)など、高いポテンシャルを活かしきれていませんでした。
2021年12月に11億5000万円で買収し、MIXIが経営をするようになってからは、J2の新潟から外国人監督を引き抜き、腰を据えて経営する意思は感じます。今年の4月29日には大規模なプロモーションを打ち新国立競技場でJ1リーグ戦を初めて開催しました。
8分40秒からの花火は必見。大雨、厳しい冷え込みの中、4万3125人を動員しました。試合も勝利したものの、何より、最近の情勢でスポーツ観戦から離れた人を何としても呼び戻そうとする強い意志を感じました。
9月18日にも新国立競技場で再度試合を開催する予定で、東京の立地を活かした活動に期待が持てる一方、バスケに比べると経営の規模が大きいというリスクも抱えます。
この2つのプロスポーツ運営事業は、『観戦』として、2023年度の決算説明資料(1Q)から別部門として明記されるようになりました。
公営競技事業
先ほどの決算説明資料の画像の公営競技となっている箇所で、主に『netkeiba.com』、『netkeirin』、『チャリロト.com』、『TIPSTAR』の4つの事業が中核を担います。他にもオートレースやNFT関係でいろいろやっていますが決算説明資料にないため省略します。
『netkeiba.com』と『netkeirin』
競馬に興味があって予想をするためにスマホで検索すると、絶対出てくるのがこの「netkeiba.com」です。
名前の通り、競馬、競輪の総合メディアで、『netkeiba.com』はなんと月間1700万ユーザ、『netkeirin』は月間100万ユーザとのことで。馬の追っかけさんのための競走馬データベースや、選手のファンを育てたり、ニコニコ動画のような月額課金があったり。決算説明資料に単独での説明がないことから、大きな稼ぎは期待できないものの、自社サービスへのシナジー効果も期待できそう。
「チャリロト.com」とTIPSTAR
スポーツ事業の稼ぎ頭であり、問題児です(特にTIPSTAR)。買収したチャリロトだけでなく、スマホゲームのノウハウを生かしたTIPSTARという着眼点は面白く、大々的にTVerやテレビCM枠で「ケイリンアプリはティップスター」とジンギスカンの曲に合わせて何度も流していましたよね。
決算説明資料を見ると、おもしろいことになっています。わかりやすさのため、表示年の長いFY2022 4Qのものを使用しますが・・・
TIPSTARのGMV(流通取引総額)がQ3で8割増えた後、2Qより少し増えたレベルまで逆戻りしています。なお、最新の決算説明資料(FY2023 1Q)を見ても季節要因なのかほぼ横ばいでした。
なんでこんなことになっているかというと、企業の体力以上にバラマキを行ったからと推測できます。特に、しくじりをしてしまったのが、2021年10月からスタートした「TIPSTARで独占販売」の競輪である「PIST6」です。
JPF社が千葉競輪場を80億円投じて建て替え、共同運営しています。TBSのがっちりマンデーでも特集され、派手なダンスと高額な入場料を取って、クラブのような空間を作り出した・・・のですが、初開催直前に、異常なキャッシュバックキャンペーンを実施したところ、コアな競輪ファンだけで少し話題になりました。
開催中、「これは稼げる」とすぐに話題になり、ディープインパクトの単勝レベルのような本命の単勝だけに現金化やキャッシュバック目当ての客が殺到。レースを追うごとに倍々ゲームのような売り上げがつき、特にナショナルチームの経験がある雨谷選手が人気に。
●●Payからチャージすることで24%とはいかずとも1割程度利益を得ることが可能とわかり往年の2chの祭りのような雰囲気となりました。翌日の10月3日には単勝とワイドが対象外となるものの、2日で6億2300万円を売り上げてしまいました(ただし、その大半が100円元返しなので選手賞金・キャッシュバック費用などで大赤字)
そして還元のキャンペーンを大幅に縮小したところ、一気に売り上げが下がってしまいます。そんな中でも他公営競技から出禁食らったYoutuberが案件動画を上げていたのはシュールでした。普通のインフルエンサーさんもいましたが。
ついには、11月末に2日合わせて2000万円以下しか売れなくなるという事態に、MIXIも広告・キャンペーンを見直すことでコスト最適化、と決算説明資料(FY2022 4Q)で言及しています。還元も3連単に限った小規模なものにし、宣伝もインフルエンサーによる案件から、コアなファンを抱える小さめのVtuberコラボや、同じく所有している千葉ジェッツふなばしのチアを呼んだり、地元のゆるキャラであるふなっしーを会場に呼ぶなどに留まります。ふなっしーを呼ぶのはお金もかかったと思いますが・・・
正直これまでの中で一番の盛り上がりでびっくりしました。ヤバいですね☆ここで自転車競技できたら、梶原選手の東京五輪銀メダルに続いて盛り上がるきっかけになるかも・・・と思えてしまいました。
上記記事は参考・・・競艇の解説者が、キャッシュバックに頼った売り上げ増や、場内で投票できず、ネットでしか投票できないことを指摘しています。
追記(11/4)…ミクシィの決算2Qで、20億の特損を計上してPIST6から事実上撤退することが発表されていました。競輪場の運営のリストからも名前が消えていて、今後はJPF社のみでの運営へ。
小言(まとめ)
筆者が未来を感じるのは、どちらかというとプロスポーツチームの運営のほう。特に千葉ジェッツふなばしは、今後MIXIが苦しいときに助けてくれる、金のなる木にはなり得るかな。と思っています。FC東京は、まだまだ時間がかかりそう。
競輪の売り上げ自体は上昇傾向なものの、コロナによるネット投票の浸透が出遅れたことがその要因として大きいと感じていて、新規の人が入る民間で分かれていることによりわかりにくさ(TIPSTARはそこが最大の魅力)やギャンブルというイメージの悪さが先行するのに対し、競馬、競艇はキャッシュバックに頼らない代わりに、場内を美化したり、芸能人を起用したコラボCMなど、イメージを美しくする方向性を明確にできています。
それを考えるとサイバーエージェントのウインチケットが人の集まる時間に競輪の番組を組んだり、体力以上の無理な還元をせず堅実な柱として仕上げていることや、丸亀競艇場が全く無名の吉本芸人を発掘して、根気よく続けていることで、視聴者が数千人つく名物番組に仕上げたのを見ると、地道に、信用を失うことなく、続けていくことが大事なのかなと感じました。
第2のモンストは、急には生えてこないけど、育ててそれを長持ちさせることはできると思っています。それが、理想的な企業経営や企業統治、にもつながるかなと。がんばれ、MIXI!
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