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「邂逅」プロジェクトが終わって

6月初旬の記事ですが、こちらに投稿させていただきます。



先週の山梨での怒涛の一週間が終わり、やっと心が少し落ち着いてきました。甲州市にある甲斐武田氏の菩提寺・恵林寺で5月27日と28日にコンテンポラリーダンス、うた、中世ハープと華道造形アートによるミュージックシアタープロジェクト「邂逅」の上演に参加してまいりました。

オランダ時代からの友人でコンテンポラリーダンスの第一人者 中村恩恵さんと古楽界ではおなじみのハーピスト 伊藤美恵さん、そして山梨でご活躍の華道家梅田一穂さんとの共演で、恵林寺内部を舞台として使用させていただきました。更けていく夜の冷たい風と空気、ライトアップされた日本庭園に流れる水のせせらぎの音、闇に鳴り響く鈴の音、虫の声、活けられた花々の形や色、ハープの音、ダンサーの床を滑るステップの音・・・その時私が取り囲まれたすべての環境は五感を通して私の体の中に入り込み、それが自分の声となって体外に発声される。そんな感覚を演奏中に何度も味わいました。何か国語の歌を歌ったのでしょうか?スペイン語、ラディ―ノ語、ラテン語、中世フランス語、中世イタリア語、そしてアングロサクソン語 演奏者も含めその場にいる人たちが通常では理解できないよその国の そして昔の、しかも今では存在しない原語による詩。それらは愛の歌、子守歌、戦の歌、恐ろしい預言だったりですが、時代や国を超えてこの恵林寺というお寺の中で歌われた。私の声の一音も聴き落とさず、それをすべて動きと化して変えるコンテンポラリーダンスの動きは瞑想的で、ハープのガット弦のぼそぼそっとした素朴な音は、時には人の声の様な響きを持って歌に寄り添ってくる。

歌うという事は私にとっては普段から普通な事であるけれども、この時はまるで「歌う」という超自然現象(もともとこの手の話が好き・・・違)にでもあったかのような錯覚に陥ったようだった。

今回の演目は「邂逅」というタイトルですが、実はこの作品には内容はありません。恵林寺のお堂の中で観て聴いたものは人それぞれ受け止められ、なんらかの思いとしてその人の中で育っていくでしょう。

初日の後、宿坊にて仲間同士で軽く打ち上げ。恩恵さんが「みんな、生まれてきてくれてありがとう!」と乾杯の発声をとった。

すごい事を言うなと思った。一緒に音楽や芸術ができることが当然ではなく、その人たちがこの世に生まれていたから出会えて、ご一緒することができた。

作品を仕上げていった時間は紆余曲折でしたが、とても愛おしいものでした。美恵さんが「人生が深まるようなプロジェクト」と言ってくださったけど、私もそうです。

この機会を下さったナーブル音楽企画の川口聖加さん、恵林寺の古川老師には心からの感謝をいたします。

そしてお手伝いくださったスタッフの皆様、お疲れさまでした。本当にありがとうございました。

自分で読んでも意味不明で支離滅裂な文章ですが、長々と読んでくださりありがとうございました。

工藤憲二様による素晴らしい画像(二次使用厳禁)をお楽しみください。


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