☆ 大学生のときのこと
ー大学3年生の春、見てしまったのだ。
学科の人たち、演劇部の同期たちが、一斉にスーツを来て歩いているさまを。
ちらっと見かけて逃げた。就職活動の姿だった。
茶髪にしていた髪を黒くして、大学生活で身につけた、自由なお洒落をあっけなく封印して、黒ずくめのスーツにすべて隠しているように見えた。
それでいいの? ほんとにそれでいいの? と、心のなかでつっこんだ。
たくさんの人と触れ合っていたけれど、私は、心の底から話すこと、人付き合いはなかなか難しかった。自分でも今以上に自分のことがよくわからなかったからかもしれない。
通学の電車のなかで、日記や詩をかいた。
ある日、漢字だけで詩を書くことを思いつき、「わたし、最近漢詩がかけるようになったの。」と同級生に伝えたが、彼は反応に困っていた。むちゃくちゃだった、ごめんなさい。
失恋して、床を叩きながら屋上で号泣したり、テンションの上がり下がりがむちゃくちゃで、自分でも大変だった。
所属していた演劇部は、コメディ中心でテンションをあげる必要があったのも関係していたのかもしれない。
のんびりしていた学校にも、就職活動の波が来ていた。4年生の秋に、私もなんとか少し就職活動をし、小さな会社に就職した。
お金を稼ぐことは好き、どこでも、何をしていても詩はかけるからと、強引に自分の背中を押した。
実際は日々に忙殺され、詩をかく機会はその頃大幅に減った。
卒業式の時、ああこれからみんなそれぞれ、全然違う人生になる、細かいことがいちいち違うようになるんだと思った。
今日演劇部の部室を出たら、もうみんなで一度に会うことはないだろう、とも思った。
袴をはいたまま、買ってきた牛丼を食べて、なかなか部室から出られなかった。
あの時思ったことはほとんどあたっていた。また会える時には、何から話そう。
本音としては、生きててよかった 学生時代はほんとにお世話になりました、ありがとうと伝えたいと思う ☆☆☆
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