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海外で、日本の若手の抽象画がキテるとか

京都新聞 2024年2月17日掲載

2月は芸術系大学の卒業制作展、3月は「アーティスツフェア京都」が開催され、若手作家にスポットが当たる。この時期にあわせて、抽象画を手がける3人の展覧会が開催されている。

竹林玲香(1998年生まれ)の作品は、灰色がかったブルー、ピンク、薄紫のグラデーションの上に線描がリズミカルに描かれる。黄色いドットに覆われた作品もある。陶のような異素材もペインティングの素材とする作家だ。高戸蒼月花(1997年生まれ)は人影や顔を塗りつぶした上に、明るい色を重ね、そのレイヤーから私的な時間軸や記憶を感じさせる。清水舜平(2000年生まれ)は、心に浮かんだ想念が像を結ぶ前に、すばやく描き取ったようなペインティングとドローイング(写真)。

「日本の現代の抽象画への関心は、近年、海外のコレクターやギャラリーの間で高まっているが、国内でそれを見出し、コレクションする動きが追いついていない」と、展示企画者。

抽象画には、一見、説明のつかないとっつき難さはあるが、作家もまた、言葉にならず目に見えないものを描こうと試みている。絵に現れているものは、内的なゆらぎや時代の気分で、それには流行の音楽に接する感覚もある。

展示会場は、現代アートを飾るために設計されたホテルのレストランと共用空間。客のさざめきが若い作家の表現と共鳴し、作品との距離を近づけてくれる。(node hotel=西洞院四条上ル、3月4日まで)


アートホテルに思うこと
(以下余白のひとりごと。)
ちなみにこのホテル、個人コレクターの集めた作品が並んでおり、目筋が通っていて落ち着ける。ライティングもいい。作品に視線が深く落ちてゆく心地がある。作品に平気で濁った光を当ててるギャラリーもあることを思うと、はるかに上等だ。壁には、来店した海外アーティストの落書きもある。

アートホテルと名乗りながら、流行りのブランド衣料をデタラメに着込んだチンドン屋みたいな(戦犯はアート知らずのコーディネイターだ)小っ恥ずかしい空間を晒しておられるホテルが多い。80年代のアートバブル期にもたくさんあったが、そんなもん全滅したのを、私は知っている。
アートは簡単に使える飾りじゃない。コストを考えるなら、壁紙や花にうんと凝る方がいいとおもうのだが。




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