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風神雷神も、どひゃっと脱力。村上隆「もののけ京都」記者発表

「日本でやる展覧会は最後になるかもしれない」と村上隆。
2024年2月に、京都市京セラ美術館で開催される「もののけ京都」展会見が、祇園でものものしく開催された。

東日本震災を機に京都住まいをされている村上さん。
「京都の人は日本人じゃない、平安人だ。日本人をスポイルしようとする力が強い。NYと同様、強力な排他的な力がはたらく。そこに身を沈めてみようと思った」と、京都ヘイトを語る。

「京都市美術館開館90年記念として開催される「もののけ京都」展には、村上隆なりの、江戸絵画解釈による世界が展開される。
ムラカミ版「京都で考えたこと」になるのかも。

芸妓舞妓の世界に触れて感動した村上さんからはこんなコメントが出た。

「日本の芸術の真髄とはなんぞやと考えていて、nigoと都おどりに行って感動して。オペラと違って、奥行きないところで立体的に表現しているのが、スーパーフラットを先取りしていた、と感じた」。

うわあ、なんでも自分の「芸術理論」にブッ込む村上さんらしい。

「芸術を一筋にやられて美を継続する文化が、日本でさびれているのが寂しい」と、しみじみされているが、その状況、京都の芸妓に限った話じゃないんだけどな‥‥。

芸妓さんの縁起の良い祝い歌


展覧会担当の高橋信也さんは「江戸時代の京都は、絵画が百花繚乱だった。光琳、宗達、蕭白などをテーマにお願いした」。そして、岩佐又兵衛の洛中洛外図屏風の船木本をもとにした、村上版洛中洛外図も依頼。

「京都の大切な部分は、華やかなものと不浄、死屍累々が共存していることだったのが、今はフラット。それを掘り起こしてほしいというオーダーだったが、経過をいうと、洛中洛外図の人物、設定を調べて描いているるうちに、めちゃくちゃになっている」とのこと。
山口晃的なあっさりトーンには絶対おわらなさそうなのが楽しみだ。

当然、期待されるグッズ展開だが、今展は「ストアが大きい」とのことで、期待を大きく上回りそうだ。加えてトレーディングカードをふるさと納税の返礼にする仕掛けもあり「これまでの美術展運営の仕組みをひっくり返すつもりでやる」。
「漫画の展覧会が始まったのが20年前。自分たちのプロモーションを展覧会にすることで、興行成績を出せる、広がりを見せられる。持てる能力を全開にして、変容しながら、やってゆきたいと思います」。

金欠状態が、貧相な展示の原因となり言い訳となってしまって久しいミュージアムに、波風は起こせるのか。手腕に注目したい。

紙袋にどっさり入ったおみやげをいただいた。中身は、京丸うちわ、琳派風のお花模様。工房謹製のクッキー、トレーディングカードなど。ストアの充実ぶりがいまから目に浮かぶ。
「クッキーに宗達の風神雷神のあらたなビジョンを描いてお土産にしました。今の時代、脱力した風神雷神の表現としました」。
いやいやこれ、フタ開けてドヒャっときました。すんごい色!

脱力というより色ギンギンなんですけど。カイカイキキの皆様、アイシング、お疲れ様でした。

村上さんも齢60を過ぎて、「どう力を抜くか」が目下の課題だそう。
「自分の究極は、白隠など禅画だと思う。脱力した時期のデクーニングや、サイ・トゥオンブリの状態が目標。今回の展示では、毎日カレーを食べているイチローのような、あたまを空っぽにしてゆく努力のすべてが見られると思う」。

破壊的な改革と解脱とを同時に語るのが、いまのムラカミさんらしさ。
ムラカミカラーのクッキーには正直、ちょっと食指が動かない。すぐに食べて無くならならない間は、簡単にはわからない村上隆的仕掛けを解く持ち時間ということで。













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