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世界が私のそばを通ったとき〜ローマ


1997年7月。
9月からロンドンで始まるサザビーズの学校での留学生生活を目前に、私はローマにいた。当時、イタリア人の彼が、ローマにいたから。
毎日のように美味しいパスタとジェラートを食べ、涼しい夜は遅くまで外でデート。夜になると、バロックな彫刻いっぱいの建物に、一層、照明も美しいローマの街。完全に映画「ドルチェ・ヴィータ」の世界。ガイドブックに載ってる、雑誌で紹介される名所も、私達には身近な毎日の場所だった。有名なスペイン階段も、トレヴィの泉も、特別な場所ではなく、いつもの場所。東京でいえば、銀座4丁目か表参道?ローマのブランドといえば、フェンディとジャンニ・ヴェルサーチ。ローマの建物に入っているブティックは、世界観を映し出し、美術館のよyに美しい。こういうところで、ブランドの世界観に触れて買うのと、都市の百貨店、免税店、ネットなどで買うのでは、経験として全く違うものであり、得るもの、学ぶことも全く違うと思う。
そんなある日、いつものようにスペイン階段を降りていくと、上から人が集まっているのが見えた。あの道にあるのは、ヴェルサーチ。近くまで行き、英語ができるイタリア人が説明してくれた。ジャンニ・ヴェルサーチ殺害事件 だと。ゲイの恋人とのもつれ?情報が錯乱していた。
少しして判明したのは、

1997年7月15日、マイアミ・ビーチにある別荘の入口で、アンドリュー・クナナン(Andrew Cunanan)によって射殺。
今のようなインターネット時代ではなく、堪能じゃない言語の国にいる外国人には、なかなか情報が入りにくかった。当時のヴェルサーチは好きな方だったし、前年のクリスマスに、イギリス人の彼が、ヴェルサーチのインテリアの美しい本と、美しいクッションをプレゼントしてくれていた。洋服よりも、その美しいインテリアは、ドンピシャで、私の好みだった。ヴェルサーチ氏の顧客には、イギリスのダイアナ妃もいた。時代が確かに変わったことを感じる。

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