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ニチアサの話がしたい vol,169


■今週のガッチャード

・「相手と生きる自分」になる

ユーフォーエックスの協力で無事錆丸を救い出した宝太郎たち。一足早いクリスマスパーティーの準備が進む和やかなキッチンいちのせのシーンから第14話「パクっとレックス! キケンなエックス」はスタート。「ジングル・ベル」を口ずさむ宝太郎と一緒に「ほっぱぱ~♪」と歌うホッパー1。この時のホッパー1の歌は少々調子っぱずれなのだが、これはおそらく「ホッパー1は『ジングル・ベル』という曲を知っているわけではないが、宝太郎の鼻歌に合わせて何となく歌っている」というホッパー1の声優の福圓さんのお芝居なのかなと思えて、ホッパーちゃんにとってはクリスマスが近付いてきていることより、宝太郎がクリスマスの準備で楽しそうにしていることが嬉しいのだなと思うと可愛らしすぎて泣けてくる。

 と、そこへやってくるりんね。彼女の何かわけあり気な雰囲気に、「アラアラ~じゃあお邪魔虫のお母さんはお買い物にでも行ってこようかしら~!宝太郎、ガンバって!」などとデリカシーなく茶化したりせず、「宝太郎、リースに使うモミの木の枝を九堂さんと一緒に取ってくれない?」と、りんねが宝太郎と話しやすいようにさりげなく助け舟を出してくれる珠美ママの素敵さがキラリと光る。
 珠美ママにそっと背中を押されたりんねは、実はアトロポスに2回も接触されたこと、自分が「攻撃するのは錬金術師だけにして」と彼女に言ってしまったがために錆丸先輩は狙われたのではないかと不安な気持ちを宝太郎に打ち明ける。主要キャラの報告・連絡・相談不足で問題が肥大化するケースが多い仮面ライダーシリーズの中にあって、1人で限界まで抱え込まず宝太郎に相談してくれたりんねちゃんの聡明さに感動しつつ、更に良かったのがこれを受けた宝太郎の返し方だ。第4話の感想で「まだ父が生きている気がする」と言われた際、「絶対そうに決まってるよ!」と無根拠な励ましはせず「九堂がそう信じるなら、俺も信じる」と、とにかく自分はりんねの味方だということを強く伝えた宝太郎がすごくいいという話を書いたが、今回も「九堂のせいじゃない。全部あいつらが悪いんだよ」と、真っ先にりんねには全く否がないことをハッキリと告げ(ここがマジで大事!)「てかごめん。九堂が悩んでること全然気付けなかった……」と、自分の至らなさを詫び、その上で「俺がんばるよ!もっと九堂に頼りにされる仲間になる!」と相手の目を見てまっすぐそう告げる。宝太郎とりんねの関係は対等だ。「自分は男なのだから女の子のりんねを守らねばならない」とも「自分がアドバイスをしてりんねに前を向かせてやろう」とも宝太郎は考えない。ただ、相手の話を真剣に聞き、不安に寄り添い、相手のために何かを「やってあげる」のではなく、自分がまだやれること、できることを一生懸命することで相手にもっと頼ってもらえる、あるいは相手と一緒により良く生きていけるような存在になろうと努力を惜しまない。そんな他人にも自分にもどこまでも真摯な宝太郎だからこそ、りんねからも「ありがとう。私もがんばる」と恐怖を乗り越える決意の言葉が出てきたのではないだろうか。第4話と同じく、宝太郎は手を差し出し、うずくまっていたりんねを立ち上がらせる。心を、手を重ねるほどに2人は少しずつ強くなり、その度に世界の色合いも徐々に変化していく。奇跡の錬金術は、呪文を唱えなくても今まさにここで起き続けているのかもしれない。

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