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終わらない夢: 過去と今は繋がっているのか

小さな頃から「大人になったら外国へ行く。」「外国人と結婚するから。」と当たり前のように言っていたのを覚えている。
なぜそんな確信があったのかが不思議だけれど、私の人生はその通りの現実になっていくのだ。
28歳の誕生日にアメリカへと飛んだその日から、30年以上外国で暮らし、外国人と結婚し、子供もできて、そして離婚もした。

毎日話している英語は、20歳過ぎた頃からは独学で学んだ。
アメリカへ行く資金を貯めるために、昼はパース(遠近法)を描く先生のアシスタントとして働き、夜は友人たちが働いていたクラブへ行っては飲み席に座るバイトをしていた。
昼間の仕事着のままで、今から考えるといい加減すぎるけれど、バブル期のなんでもオーケーな時代だったからいけたんだと思う。
友人から「さあ飲むよ」という合図が送られてくるまでみんなの会話を眺めているというポジションで、よくみんなの会話を脳内で英語変換していた。

空想することも好きだったので、自分で作った話や想定する場面など英語に置き換えて独りぶつぶつと話したり、英語が分からない時は、でたらめな言葉を英語風に言ってみたりしていた。
今思い返すと馬鹿みたいな学習方法だったけれど、それが案外良かった。
とにかく言葉に変換して話すような練習が、
自分には合っていたなと思うのだ。

外国に行くと言う気持ちも、言葉を覚えると言う方法も、今思い返してみると、すべての事は自然に起こっていたと感じる。
誰かに影響を受けたわけでも、その考えに至る原因があったという事も無かった。

さて、そんな私がまだ1つだけ実現していないことがある。
それは最終目的地である。
私が暮らすであろう土地はイギリスのはずだった。
イギリスこそが初めからずっと思っていた場所なのだ。
それがなぜかアメリカ本土からハワイへ来て、ここで止まったままで、ヨーロッパには1度も足を踏み入れてはいない。行くチャンスがやってこないのだ。気軽に旅をするこの時代なのに。

ところで、あなたは何度も何度も同じ夢を見るという経験はあるだろうか?
私にはそういう夢がいくつかある。

小さな女の子である私が、部屋の窓辺でカーテンにくるまりながら窓の外を見下ろしている。
そこには石造りのアーチ型のトンネルと石畳の道があり人や馬車が行き交っている。
雨の降る夕方のような時刻。
あまり何度も見る夢なので記憶にしっかりと残っているのだ。

大人になったある時、リーディングをしてもらう機会があった。はじめての体験だったが、彼が次々と私の心に響くようなことを教えてくれるので、ついこの夢についても聞いてみた。すると彼はこういう話をしてくれた。

「あなたは出かけていく両親を窓から見下ろしているのです。あなたの両親は、どうもアイルランドからイギリスへと最近移り住んできたらしい。どうやら当時の政治的な地下組織に関係してる人たちだったようです。ミーティングは夜行われるので、あなたは1人で留守番をしていたようですね。その時の心細い気持ちがこの夢の根底にはあります。
この生の時代のあなたは、あまり幸福な人生ではなかったようですね。晩年は、恵まれない子供の世話をするような人生を生きています」
この話もなんとなく腑に落ちた。
心にしっくりときたのだ。
それ以降、この夢を見る事はなくなった。

私は人生を終える前にイギリスへいくことになるのだろうか?
彼の地の自然の色、空気の匂い、空の動きは私の魂に何を語りかけるのだろう。
行ったらもうそこに住みたくなるのかな?
時々ふとそんなことを考える。
夢はまだ終わっていない。

*タイトル上の写真は、偶然見つけた夢に出てくる場所にそっくりのトンネルと行き交う人々の光景

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