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雨夜の星

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時は、戦国中期。 常磐色の瞳を持ち、顔に醜い火傷をおった天涯孤独の幼姫吉乃。城主の夜這いを拒んだが故に「病に伏した兄の元へ戻れ」と護衛の忍、才四郎を一人付けられ、匿われていた城… もっと読む
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第四章 龍笛(1)

 道中、盗賊にあった。襲われたのは私達ではない。前を歩いていた農民の父娘である。  正午…

序章 誰そ彼

 その城は、畿内の湖の畔にある。  城下に広がるその湖には、美しい女人の姿をしたあやかし…

第一話 彼は誰

 夜明前の、透き通るように凍った空気が昔から好きだった。  陽が昇る前の刻の闇が一番深い…

第二話 峠茶屋

 弥生も半ばを過ぎた。田畑に敷き詰められたように咲く赤紫色の蓮華草が目にも鮮やかで美しい…

第三話 薄荷

「部屋が一つ足りない?」  あれから、また数刻歩き、夕刻についた小さな街道沿いの宿場町の…