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走れメロスの続きをAIが書いたら展開が激しい

序盤、王様の前にメロスが引き出されたあとの続きです。
個人的には、頭髪の話題と、打首だと言われているのに、火あぶりかも、などと考えているおつむの弱いメロスがポイントでした。


王の前に引き出されたメロスを見て、廷臣たちは皆あざわらった。口々に言った。
「あれが有名なメロスとやらいう男か。なるほど頭は丸坊主だ。しかし、何も彼も真正直に書きすぎる。信用出来ん男だ。」
「うむ、あいつはおれ達の仲間ではない。どうも気に食わん。おれは好かんね。」
「おれも嫌いだ。虫が好かん。きっと腹に一物あるにちがいない。油断するな。」
王は玉座から立ち上がって、大股にメロスの方へ進んで来た。そして、いきなり手を振り上げて、メロスの頬ぺたを張った。メロスには何が何だかわからない。呆然としていると、さらに逆上した王は、二度まで三度までメロスを打った。まわりの者たちは、ひそひそ話をしている。
「見ろ、やっぱり乱暴するつもりだったぞ。」
「いや、あれは何かの行き違いだろう。話せばわかるさ。」
「話したって駄目さ。相手は野蛮な未開人だぜ。話し合おうなんて思うものか。」
「それもそうだ。」
王がふたたび口を開いた。
「お前がメロスとかいう男か。」
「そうです。私がメロスです。」
「何か言いたい事があるなら言って見ろ。」
「王様は、まことで御座いますか。」
「ほんとうだとも。」
「それでは申しますが、あなたは私の村で、羊飼たちが『王様は何をなさるかわからない』と言っていたのを聞いていましたか。」
「聞いていたとも。それがどうしたというのだ。お前はおれのことを気違だと思っているのだろう。」
「思っているどころではありません。たいへんなお考ちがいをなさっていると申し上げているのです。私はただ一言だけ弁明を聞きたくて、こうしてやって来たのですから。あなたがもし、すこしでも正しいこころをお持ちならば、どうか私に弁解をして聞かせて下さい。ひと言でいいのです。お願いします。」
「よろしい。聞こうではないか。お前の言う弁明とは何だ。」
「王様は、さっき私をごらんになって、あたまのてっぺんが禿げあがっているとかおっしゃった。ところがそれは、私には子供がなく、女房もないために、髪が薄くなってしまっているのでございます。」
これを聞くと廷臣たちは、またどっと笑いだした。
「聞いたかあの話を。自分の頭を棚にあげて、よくもあんな出鱈目でたらめを言えたものだ。」
「全く理窟に合わん話だ。あいつこそ乱心だぞ。狂人だ。」
「おい、もうたくさんだ。こんな男をいつまでも相手にすることはないぞ。早く縛り首にしてしまえ。」
そこで王は大声で叫んだ。
「この者をこれへ出せい。今直ぐ打ち首にせよ!」
刑吏が進み出て、有無を言わさずメロスを引っ立てて行こうとした。その刹那せつメロスは目をつむって考えた。(ああ、俺の人生もこれまでか。今までずいぶんつらい思いもしたし、悲しい目にも会ってきたが、いよいよこれでおしまいなのか。俺は一体どうなるのだ。首を斬られるのか。それとも火焙ほふにされるのか。)
その時、彼の頭に一つの考えがひらめいた。
(待てよ。俺が死刑になる前に、せめて一言なりとも弁明をしておいてやりたい。何という事だ! こうしている間も刻一刻と俺の命は尽きようとしているのだ。どうせ死ぬのなら、いっその事最後の最後まで足搔いてやろうじゃあないか。ええいままよ!!)
メロスは心の中でこう叫ぶや、急にあらん限りの力を全身に込めて抗おうとした。衆人環視の中で、メロスは仁王立ちになったかと思うと、見る間に王の面前に近づいて来て、やがて壇の上に飛び乗ったと思うと、そのまま壇上の王に向かって躍りかかったのである。不意を衝つかれた王は避けるひまもなく、メロスの両手の中に抱きすくめられてしまった。メロスはすかさず王に接吻をした。それから一同の方を向いて大きな声でこう言った。
「皆さん。これは私の真実まことの心持であります。私は確かに生れつきの頭が少ない男でした。それを今日この日まで悲み嘆いておりました。けれども、今は違うのです。髪の毛が無いからこそ出来る事もあります。たとえば頭髪を長く伸ばしていた頃は、恥ずかしくてとても出来ませんが、坊主頭の今なら何でもやる事が出来ます。人の見ていない所ではこっそりパンを食べて腹を肥やすことも出来ますし、お酒だって飲むことが出来ます。それに第一、あんまり臭くないですからね。えへん!!」
そう言ってメロスは得意そうに鼻をうごめかした。
次の瞬間、メロスの首は飛んでいた。

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