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初心者向けと中級者向けの違い

こんにちは!
『インク水彩の技法書(仮)』の出版を目指しています。
ご興味を持たれた出版社さま、編集者さまはいつでもお声がけくださいませ。
企画概要の記事はコチラです。

さて、本日は技法書の難易度について。
企画概要でもたびたび出現する「初心者向け」「中級者向け」という表記ですが、
いったい何をもって初心者、中級者と言っているのか、というお話。

たぶん技法書を手に取る多くの方が自分のことを「初心者」として考えていると思います。
こと絵描きは自己肯定感の低い人が多いですよね。
超絶に上手いと思える人も「ワタシ、画力が足りないから」などと耳を疑う発言をしているのを耳にすることも多いでしょう。しかも、それ謙遜しているのではなく本心で言ってるんですよ。ははは。

まぁ、一般論はさておき、ですね。
ここでは企画中のインク水彩本に限定したお話として説明することにします。

技法書における初心者と中級者とは

ちょっと図解を挟みます。

初心者向け解説は「指示されたものを描く」レベルの記述です。
中級者向け解説は「仕組みを理解して描く」レベルの記述になります。

すると、技法書として考える場合それぞれの本のゴールが変わってきます。

初心者向けであれば、道具を用意してお題の手順通りにお手本と同じ物を描く。
その結果得られるものは、

  • この描き方楽しい!

  • 同じ描き方で他の絵も描いてみよう

  • この道具ってこうやって使うんだ

とこんな感じでしょうか。
手順通りに描くので、絵の難易度が多少高くても実はそんなに問題にはなりません。
ですので、ワークショップとかでちょっとしたものを作る時、
「こんなスゴいもの本当に作れるかな」と思えるようなことも終わってみればできてしまいます。
これが初心者向けです。

一方中級者向け。こちらは少し複雑になります。
「仕組み」を理解する、ということは例えばお料理で言うなら
「火加減」や「調味料の匙加減」「素材の扱い方や切り方」、「調理方法」ですね。
なぜそこは強火で火を通すのか、なぜその順番で味付けをしていくのかとか。

レシピ通りに料理していくのと、理屈を理解しながら料理をしていくことでは
意味合いが変わってきます。

水彩であれば、1番大切なことは「水加減」です。
ほとんど水を使わない描き方と、タップリ水を使った描き方ではまるで表現が変わります。
水を使うということは、それを吸収する紙質によっても表現が左右されます。
すると、紙はどう選ぶのか?といった発想につながりますね。

それ以外にも、乾いた状態で色を置くのと、濡れた状態で色を置くのとで表現が変わってきます。じゃあ、どの手順で色をのせるのがベストか?とか。ひとつひとつ、理屈がわかることで、絵を組み立てられるようになるわけです。

これが中級者向けの解説になります。

参考までに上級者はどうなるか、というと。
一つは道具や表現の細かい知識とテクニックに関する解説。
もう一つは「何を描くか」とか「どう描くか」といった思考法みたいなことです。

こうなってくると、1番勉強になるのは原画を観たり作家本人から話を聞いたりするのがベスト。書籍であれば画集を見て盗む感じだし、解説なら作家のブログとかを読む感じですかね。なんなら、別のジャンルの人のインタビューとかでも勉強になります。

まとめ

『インク水彩の技法書(仮)』は初心者から中級者をターゲットにしています。
それぞれ数分で実践できる「基本技法」は初心者がまずは道具と技術に慣れるための解説と課題です。

ここがクリアできたら「応用技法」で組み合わせて指定のモチーフに挑戦です。

その時、技法の組み合わせを理解するための「解説」がしっかりと記述されます。
読んで実践すればそれは中級者。手順通り描くなら初心者です。
初心者として読むのか、中級者として読むのか。そこは読者さまの自由です。

ご自身のペースに合った読み方ができる、というのも書籍の魅力の一つじゃないでしょうか。

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