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出ていきなさい!

よくマンガとかに、親が『そんな子はうちの子ではありません、出ていきなさい!』と子供を叱っているシーンがあったと記憶している。( 私は親に 言われたわけではない。)この記憶って、昭和30年代生まれの世代だけだろうか? 必ず子供は『 え~ん、もうしません、ごめんなさ~い!』
と 泣いて謝るのだ。

長男が 15歳前後の頃、私といえば口をひらけば 『 もう寝ないと 明日 遅刻するよ。』『 勉強は?』『 またゲーム?』。
長男の返事は『 うっせ。くそ!バカ!死ね!』だった。

うんざりして、つい『 出ていきなさい!』と言いたくなった。そんな時 夜中の24時だろうと、私が外に出た。長男にいうと、本当に出ていきそうだったから。私服なら 自転車でコンビニでも、マン喫でも、ゲーセンで、いくらでも行く場所があったから。そんな時 私のお供をしてくれるのは、飼っていた2Kg程の 小さな愛犬だった。雨で行くところが無くて玄関の軒下にいても 抱いていれば 寒くなかった。通りすがりの人に見られても 少し体裁が保てた。何より いつも静かに抱かれていてくれた。小さな存在が 何年も私を救ってくれた。

夫は 少しも私の味方をしてくれなかった。大事な妻が 『 くそ!バカ!死ね!』と罵倒されているのに、のんびりTV見ながらくつろいでいた。『 俺の大事な奥さんになんてこというんだ! お母さんに謝れ!』と言って欲しかった。いつもそう思っていた。ある日、べそかきながら その気持ちを伝えたら、『 どうせ 本気で言ってやしないよ。』と呑気な返事が返ってきた。例え本気でなくても 冗談でも 言ってはいけない言葉はあると思う。私は 絶対に夫を許さないと 深く心に刻んでいる。夫が要介護になって私に助けを求めても 許してやらないのだ。

少し前の夕方 都内の繁華街の駅近くで 10歳位の男の子と園児の男の子を連れた若い母親を見かけた。一日買い物などしたのか、遊んで疲れた風の母親は、何回かのやり取りに後に、お兄ちゃんに向かって『 そんなわがままいうなら !』とすごんでみせた。その時 園児の弟が 即座に言った。『 お母ちゃん、いなくならないよね!ね!一緒だよね! お兄ちゃん!お母ちゃんに謝って! お願い!』私はその弟の声を聞いて 涙が出そうになった。きっといつもそうやって いうことを聞かない時『お母さんは出て行っていなくなる!』と脅しているんだろう。10歳程のお兄ちゃんは どこ吹く風のように見えたのが救いだった。ホントは居なくならないって知っているんだね。同時に お母さんのその脅し文句も もう数年で効果が無くなるんだよ、と心の中で呟いた。

最近 幼児でも 本当に置き去りにする親がいると聞くので、なんだか親子関係もすごくピンキリになってきたような気がした。

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