【音楽】変拍子が好みなら3776の楽曲を聞け
「牛を家畜にする国では4拍子の曲が生まれ、馬を家畜にする国では3拍子の曲が生まれた」
高校時代に音楽の授業で聞いたこの雑学が、僕の記憶に印象深く刻みついている。
家畜の足音が奏でるリズム、それが国民の基準になって異なる拍子の音楽文化が生まれていったらしい。
理屈で語れるこの知識を、高校生の僕は
心のノートにしっかり書き留めた。
拍子を語って“音楽オタク”を騙った
「3拍子の楽曲は心が弾むな〜」
「ハチロク(6/8拍子)を聞くとリラックスできるから良いよね」
「聞いてよこの楽曲、サビだけ7/8拍子になるんだよ!!」
音楽好きな友人の話について行けるよう、相槌を打ちながら必死に言葉の意味を調べていた。
僕も似たような言葉を使って音楽を語るようになったが、精一杯“オタク的知識”を振りかざしていることは否定できない。
音楽理論なんて知らないし、そもそも音楽の授業なんて基本的には寝ていた。今になって“音楽がわかるヤツ”に憧れを抱いているのだろう。
…浅い知識で、様々な楽曲の拍子に言及を重ねてきた。ある日僕は、YouTubeで発見した一つの楽曲を耳にして全ての言葉を失った。
3776『生徒の本業』
https://youtu.be/anclNgF_iCE
富士山のご当地ローカルアイドル“3776”。2013年に結成されたグループだが、現在はボーカルの井出ちよの一人で活動中。
プロデューサーを務める石田彰さん(声優ではない)は、AKB48に感銘を受けて「ご当地アイドルプロデューサー」を志したという。
王道アイドルに触発されたプロデューサー、石田さんが生み出した楽曲『生徒の本業』を一度聴いてもらいたい。
この楽曲は、イントロからアウトロまでずっと「3・7・7・6拍子」で構成されている。
…3拍子でも、7拍子でも、6拍子でもない。
「3・7・7・6拍子」で構成されている。
このプロデューサー、頭がおかしい。確実に、年端もいかないアイドル達に歌わせるような楽曲じゃない。
集中して聴いていても、全く拍が取れない。
悔しさを覚え始めて、ついついヘビロテを重ねてしまう。
…ふと気付く。『生徒の本業』は知らぬ間に聴く人の耳と心を奪う、独特の魅力が秘められた恐ろしい楽曲だ。聴くタイプのドラッグだ。
「変拍子」にまつわる最強の話題を手に入れた僕は、意気揚々と“音楽好きの友人”にこの楽曲を紹介した。
友人は一言「なんかすごい曲だけど、、、アイドル聞かないから、よく分かんないわ笑」
…“拍子抜け”とは、まさにこのことだろう。
※以下、余談
今回取り上げた楽曲『生徒の本業』が収録されたアルバム『3776を聴かない理由があるとすれば』。
頭から最後まで通して聴くと“3776秒”で全トラックが終了する。
…本文の最後に、賛辞の言葉を一つ。
「本当に、頭がおかしい。」
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