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【アクタージュ】WEBを用いたマンガ訴求について

週刊少年ジャンプで連載中の作品『アクタージュ act-age』をご存知だろうか。個人的には、現在連載中のジャンプ作品の中で随一の面白さを誇るマンガ作品だと思っている。

大手芸能事務所スターズが主催する俳優オーディション。未来のスターを目指す3万人の応募者の中に、異彩を放つ少女が1人──天才女優と鬼才監督の出会いから始まる、1本の映画を巡るアクターストーリー、開幕!!

※公式サイト抜粋

天性の演技力を持つ役者志望の女子高生”夜凪 景”が、映画監督"黒山 墨字"との出会いをきっかけに、役者として、人間としての成長を重ねていく物語。

連載当初は人気が低迷していたが、主人公夜凪の成長が描かれるにつれて加速度的に人気を獲得していった。ジャンプにしては異類の”遅咲き開花”を果たした作品である。

...今回言及するのは、作品そのものの魅力ではない。このマンガを訴求するために仕組まれた、WEB施策の目新しさを取り上げたい。

『スタジオ大黒天』公式サイト

https://www.shonenjump.com/studio_daikokuten/

作中で、主人公夜凪が所属することになる事務所”スタジオ大黒天”。言わずもがな、実在しない架空のタレント事務所だ。

...”実在しない”はずの事務所なのに、公式サイトが存在していた。

この『スタジオ大黒天』公式サイトは、マンガ『アクタージュ』を訴求する為に作られたコーポレートサイトである。もっと言えば、マンガの登場人物、つまり”実在しない女優”を紹介するためだけに存在している。

”マンガ訴求”に留まらない充実したコンテンツ

人気のマンガ作品において、それ単体をプロモーションするためのサイトが作られるのは昨今それほど珍しいことではない。

しかしこの『スタジオ大黒天』は、作り込みがおかしい。

サイト全体を通してマンガ単行本の宣伝をするだけでなく、作中ストーリーに合わせた、ヒロインの活動内容が”活動実績”として紹介されている。

また、リアルでの施策として『アクタージュ』とコラボが行われた事例の情報も並列に”活動実績”として扱われている。

まるで”実在する女優”のように、主人公夜凪を紹介するコンテンツ群。この『スタジオ大黒天』公式サイトは”役者”という作品テーマとも相性が良く、他に類を見ない新たなプロモーションコンテンツを確立しているのだ。

時代に即したインタラクティブな試みも

スタジオ大黒天のサイト上には”お問い合わせ”用の連絡窓口として電話番号とメールアドレスが記載されている。

TEL:03-3230-9614MAIL:info@studio-daikokuten.com

とりあえず、記載された番号に電話をかけてみた。

...読者なら納得のできる、作中の事情に触れながら「只今電話が繋がらない」旨が伝えられた。正直、この電話を通して新たに得られた情報はなにもない。ユーザーを”クスッと笑わせる”ためだけに電話番号を取得したのかと思うと、サイト制作者のこだわりが感じられる。

次に、記載されたメールアドレスに連絡してみた。

...メールを送信してから数秒で、返信が返ってきた。何やらpdfファイルが添付されている。

夜凪景の活動実績がまとめられた”ポートフォリオ資料”が添付されていた。

繰り返すが、彼女は実在しないタレントだ。ポートフォリオを読んだところで何かしらのビジネスが動くことはない。このポートフォリオも、ユーザーを楽しませる=”作品を好きになってもらう”ためだけに仕組まれたコンテンツなのである。

一方的にサイト上で情報を発信するだけでなく、ユーザーの行動を促し、そこから新たな面白さを提供する。WEBコンテンツならではの”インタラクティブ”な試みにも力を入れた『スタジオ大黒天』公式サイト。原作ファンもそうでない方も、ぜひ一度来訪してみてほしい。

※以下、余談 

このサイトを一通り楽しんだ後、ふとした疑問が浮かんだ。

「なぜ、一つのマンガ特設サイトにここまで注力されているのだろう?」

このサイトは、公開時以降も定期的に”活動実績”等のコンテンツが更新されている。もちろん、集英社が連載している全てのマンガに対して、このような専用のサイトが設けられているわけではない。

少し考えて、一つの仮説に辿り着いた。「どこかのタイミングで、アニメ化・ドラマ化の告知に使うのでは!?」勝手に信じ込み、一人ただただ心を踊らせている。今後の『アクタージュ』の動向に、ますます目が話せない。

#マンガ #コンテンツ会議 #アクタージュ #週刊少年ジャンプ #テクノロジー #Webサービス

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