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KS3PJ: 厚底シューズの威力

4月末から始めた「還暦サブスリー」プロジェクトで核となる要素にグッズがあります。私の「本業」の自転車レースは、機材スポーツなので基本コースで自転車は50万円、周辺の用具やらセカンドバイクやらで100万円は直ぐに超えます。そのうえコアなレーサーは年間の消耗費は10万円程。それに対してマラソンは何とお安いスポーツであることか。お高いシューズでも3万円台です。安!

走り始めた時のシューズはNiki Downshifterで東京靴流通センターでお安く買ったお品です。シューズにも一家言ある「世界のサノアツ」さんにシューズ選びの話を聞き、これがイイと勧められたのがNike React Infinity Run。彼も使っていて、沢山持っているシューズの中でも出色だと言うので楽天ポイントを動員して買ってみました。


シューズの能書き

「世界のサノアツ」さんはシューズに関するウンチクが鋭く、このシューズを勧める理由は、「故障しない」こと。体より心が勝る怪我のデパート的な人が、経験則に沿って勧めるのだから信憑度が高い。曰く、Nikeが被験者を使って怪我率が下がったコトを売りにしていて、「怪我ゼロ」を目指す、ナイキの挑戦、と銘打ったコピーが目を惹きます。

もしも全てのランナーが速く走れるようになったら、それはとてもエキサイティングなことです。でも怪我の問題などを考えると、それは同時に大変な挑戦です。怪我は本当に避けられないのか?その疑問から、ナイキはランナーの怪我を減らす可能性に着目し、その実現の第一歩となるナイキ リアクト インフィニティ ランを開発しました。

・増加したミッドソールのリアクト素材
・横ぶれを防ぐ安定性
・ロッキング チェアのようなソール
プロネーションの制御
・どれだけ幅を広げられるかを追求
・ミッドソールの特徴的カーブ形状

ナイキ曰く、ハーフマラソン向けトレーニングの226人の男女に12週間の使用テストを、従来モデル(エアズームストラクチャー22)と比較して行い、ケガの発生率と痛みの感覚の違いを測定した結果、従来モデルと比べて52%の怪我軽減を達成したと「豪語」しています。こういうのはハナシ半分で聞きましょう。しかし、

「怪我ゼロは朗報」です。

「還暦サブスリー」プロジェクトで最も注意を払うべきことは「怪我しないこと」。この年齢で怪我をすると、もう達成率0.0054%への挑戦は断念せざるを得ません。足と脚と関節に無理をかけずに身体をビルドアップするには、シューズ選びは極めて重要です。おまけにマラソンはお安いスポーツ。シューズなど消耗品。自転車のタイヤ前後セットと値段は変わりません。

外観

初級向けシューズDownshifter(青)との比較が分かりやすいでしょう。厚底の意味が視覚的に分かります。

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サイズは同じ25.5cm。比較して特徴的なのは、

・ヒールカップが柔らかい:こんなんで大丈夫なの?
・転がるようなフォルムの底:おー、理に適ってるなあ
・サイドのサポートが大きい:これならブレなさそう

幅は前部で 112㎜ ⇒ 115㎜、後部で85㎜ ⇒ 95㎜ と接地面積が大きく拡大されています。ソールのグルービング(溝)も特徴的ですね。

ソールのカップは無いに等しい。こんなのでホントいいの?というのが箱を開けて最初に思った正直な感想ですが、走ってみて「従来の常識」的なヒールカップは要らないのだと分かりました。それはこのシューズが求める走るフォームにも関係します。


インプレッション

「なんだこの柔らかさは」これが走って直ぐの感想。
「おー、前へ転がるぞぉ」がその次の感想。

ただし、このフワッとした感覚はずっとは続きません。ソールに使っているフォームは、走り続けると潰れるからです。つまり、ある程度潰れて平衡状態になってからが本当の感覚と思っていい。ナイキもそれを見越してソール素材の反発率と形状変化率を決めているに違いないでしょう。

まずバイオメカニズムで走るという動作を理解してみましょう。

ランニングで「真下に踏め」と言われるのに前方へ進むバイオメカニクスについて、為末大さんのこの動画が分かりやすい。「起こし回転」という表現をしていますが、ゴムまりを例にして表現しています。真下に踏むと言いつつなぜ前に進むのか。理論派には実に納得できる説明です。

この「起こし回転」を最大限に利用するために厚底シューズが開発されたのだと思います。シューズには沈む(ショック吸収)と跳ねる(反発)の両方の機能がありますが、今回購入したNIKE React Infinity Runは、弾む方より衝撃を受ける方を重視したシューズと言えるでしょう。

エンジニア的に言うと、ランニングシューズはクルマの様なバネとダンパーのモデルで置き換えられます。バネはチカラを吸収し貯める、ダンパーはその入力と出力の速度を制御します。この反応速度と伸び縮みの速度が開発者の腕の見せ所。ダンパーが無いと姿勢は安定しません。

ソールに求められるのは衝撃吸収と、荷重が抜けた時の反発です。簡単に言えば、一旦潰れる⇒元に戻る、の繰り返しです。走り始めから暫くすればソールのフォーム厚は完全には元に戻らず、ある程度の潰れ量が発生するはずです。

そこにカーボンソールを組み込めば、反発係数、つまりバネ係数を変えることが出来ます。このモデルにはカーボンソールは入っていませんが、レーシングモデルではそこが肝、シューズメーカーの妙でしょう。

バネ係数を上げれば走る速度は上がりますが、それに耐えられる足と脚が無ければ故障します。シューズは脚力によって選ぶのが常識で、脚力が上がればシューズも変えることが必要でしょう。メーカの謳い文句に乗せられていては結果に結びつきません。これから先のシューズ選びが楽しみです。

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フォアフット、ミドルフットには最適

フォアフットを体感するには最適です。従来型と言ってよいDownshifterとは全く走り方が変わります。シューズは接地時のスイートスポットがあるので、そこを探して走ってみるとフォアフット気味のミドルフットが良い感じです。

マラソン熱の高まりにより、アマチュアランナーのレース速度が上がっていますので、走力を上げ速度を上げるにはヒールフットは論外。今迄はヒール部のショック吸収機能が目に付きましたが、厚底シューズで時代は変わりました。

前に転がりやすい前部のロッキングチェア形状もナイス。上体は起こしながら体重心は常に前へ持って行く意識で走りますから、より前へ進むのには好都合なソールです。

走力は地球の中心体重心、その間にある足の接地位置と接地時間で決まります。接地位置は、圧力Max時の足位置が地球中心と体中心の線上にあり、なおかつそのシューズと体中心の線が地球鉛直線よりも僅かに前に傾いていることで前進力になります。接地時間は、短かければ短いほど速い。そうなると、必然的にフォアフット気味のミドルフットが有利になります。


厚底シューズネイティブ誕生で常識がが変わる

厚底シューズは、マラソンの歴史を変えるでしょう。厚底シューズで走り始めた人、厚底シューズに合わせた走り方に改造できた人、これらの人から記録と走行フォームが激変するでしょう。

怪我しないという心の安寧は、練習への熱量をキープしてくれます。

特に、厚底が最初のシューズとなった「厚底シューズネイティブ世代」は、それまでの常識にとらわれず、走り方を「開発」あるいは「改革」していくでしょう。このシューズ革命によりシューズは更に進化するでしょう。それに伴い、フォームの変化とトレーニング理論が変わるでしょう。厚底ネイティブの誕生です。

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シューズは安い買い物

アマチュアランナーができる事はただ一つ、沢山履いて沢山試すしかありません。シューズばかりが増えると躊躇する必要はありません。

シューズは「安い」のです。

どんどん買って、どんどん試しましょう。気に入らなければ早いうちにメルカリで売れば良い。買った半分の値段で売れれば、十分元を取れます。

壊れた脚を直すには、シューズの数倍~数十倍のお金がかかります。精神的なダメージと時間損失は、金銭的ダメージを遥かに上回ります。

自分に合ったシューズは怪我を予防すると言うだけでなく、あらゆるダメージへの「保険」という意味も含まれるのです。

だから「シューズは安い」のです。


次回買うなら0.5mm大きいものにする

さてシューズのサイズについて。

次回もこれを買うなら、サイズを上げるつもりです。フォアフット+ミッドフットで走った時に、フロント部スペースの余裕が足らない気がするからです。

上部アウターのFLYNITは、通気性が良く軽くて伸びが少ない素材なので、伸びによるフィット感を期待していた向きには、良い意味で少々期待外れでしょう。


これまでのストーリー

トレーニング方針を「更新」
一日二毛作でアウトプット向上
ナンバ走りを実験する
心拍ドリフト、AT心拍数と呼吸数測定
過去の自分のデータを紐解く
体メンテナンスは欠かせない
肉体改造計画のスタート
体幹トレーニング考
達成率0.0054%の意味
日々のボディケア
体幹トレーニング考
ランナー諸君、チャリダーは次元が違うのだ
「還暦サブスリー」への挑戦② トレーニング方針
「還暦サブスリー」への挑戦① 宣言


付録

三河屋幾朗という生き方
Quoraで回答:閲覧数150万回の三河屋幾朗
ダブルインカムからシングルインカムへ:2012.11.23
ダブルインカムからシングルインカムへ2:2013.12.14
快感:社会の鎧を脱ぐ:2014.2.1
シュフ主夫ばんざい:2013.12.17
妻への感謝:2018.7.23
3時ラー なるもの:2012.11.1
英語は40歳を過ぎてから:2018.3.28
日本縦断16日間:2010.6
Mt.富士ヒルクライム:2008.6
全日本Mt.サイクリング・乗鞍:2008.8
自転車でのトレーニング
自転車へのこだわり

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