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#19 街角の先輩 松山順一さん (はままつぐし職人)

街角の先輩 松山順一さん (はままつぐし職人)



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はままつぐし職人の松山順一さんは、お持ち帰り弁当を買うために毎週末みかわやに顔を出してくれる。自宅兼工房はみかわやから徒歩1分ほどの距離。工房に一歩足を踏み入れると、そこには時代を乗り越えてきた空間があった。

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(写真:松山さんご自身 ご提供)


ー はままつぐしとは?

「工芸品は実用的な道具。たくさん使って欲しい」
くしは主につげ材(鹿児島県の薩摩つげ)を使用しており、当時の技法(明治時代)のままに手作りしている。つげ材を固定、ノコギリの歯を入れて均等に削り、木賊(トクサ)という特殊な道具でやすりを掛け、鹿の骨で仕上げる。美しく整った細い歯を眺めるとまるで芸術品のよう。しかし松山さんは「工芸品は日常で使っていただくもの、実用的な道具として使っていただけると嬉しい」とお客さんに伝えている。

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ー 浜松市指定無形文化財 三代目 松山鐵男さんについて

先代の故 松山鐵男さんは浜松市指定無形文化財を受けられた。当時の作業風景がYoutube「櫛に生きる」で視聴できる。お父様から直接指導を受けることはなく、作業姿を横目に見ていた。受け継ごうと決めたのは、鐵男さんが逝去され数ヶ月が経った、順一さん58歳の時。「片付けのため工房に入ると、まるで『はいどうぞおやりなさい』と言うように作業台の準備ができていた。これは宿命だなと覚悟した。」奥様に相談して、納得ができる櫛ができるまで三年ほど修行を続けた。


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はままつぐしの今後は?

 使用する道具は非常に特殊で、寿命があり限りがある。さらに納得いく材も少ない。「そもそも需要がどこまであるか、先は読めないでしょう」と継続を不安視する言葉もあったが、浜松市の貴重な文化の一つを地域で守っていきたいと筆者は願う。

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松山さんの「はままつぐし」どこで手にすることができるの?

コロナ禍にある現在、遠方からのお客さんにはご遠慮いただいている。来店の際は必ず電話予約をいただき、工房にて品物を手にとってもらう。松山さんが更新する「はままつぐし工房日記」ブログを一度チェックしてほしい。

(問い合わせ先は下記ブログよりご確認ください)



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プロフィール:松山順一さん
県内で唯一の4代目のつげ櫛の職人。当時の技術のままに手作りされるつげ櫛は、肌馴染みがよく使い心地は抜群。

文章:竹山友陽
写真:鈴木 陽一郎

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