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18世紀の晩餐会・料理の復刻、「鹿鳴館の夜」(15)

怒涛の2020年が終わり、2021年を迎えました。時代が大きく移り変わる中、私たちは、何を得て、何を喪失し、何に立ち上がり、何を守っていくのだろう。そうして、どんな新しい時代を、未来を作っていくのだろう。

年内に室内の整理が終わったと思われる今のクレッセントでは、しばらくの間、静けさの中、運命の成り行きを待ちながら佇んでいます。

昨年のコロナの影響では、このクレッセントハウスのように、伝統ある事業、歴史ある建物等多くの価値あるものが失われていったと思います。コロナ問題と経済どちらを取るか。しばらくの間、そんな自問自答を繰り返しながら、世の中は流れ着くところを探していく。

コロナで壊れたものを修復していけたなら、という気持ちは多くの人たちの中にあるもの。その気持ちを一つに集めることができたなら、もう守りきれないと思えるような数々の物事や場所が、再び輝きを取り戻すのかもしれません。そして巡り巡って、新しい時代を生み出すのかもしれません。

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〜古き良き時代の大晩餐会〜

日増しに秋も深まり、美しい紅葉の頃となりましたが、皆々様には益々ご清祥の御事とお喜び申し上げます。さて、「鹿鳴館の夜」回をかさね、第15回を迎えることとなりました。今回は幾分趣向を変え、ロシア風のメニューをご賞味いただこうと計画しております。

と申しますのも、今日我々がフランス料理のサービス、作法として親しんでおりますのは、1810年、在仏のロシア大使A.Bクラーキンによって工夫された、ロシア風のフランス料理は全部一度に食卓の上に並べられた為、温かいものはさめてしまい、必ずしも美味しく食べられなかったようです。一方ロシア帝国では、フランス指向ではありながらも独特の非常に贅沢な宮廷文化が栄えておりました。このような帝政ロシアの雰囲気に少しでもひたっていただければと、一同努力いたしておりますので、何卒、明治の香り高い芝公園に皆様お揃いで御来駕賜り、最高のキャヴィアなど、贅を尽くした料理の数々をご賞味なさりつつ、美しい秋の夜を存分にお楽しみ下さいます様、ご案内申し上げます。

平成2年10月(第15回)

クレッセントハウス主人 石黒孝次郎

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