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城壁の外を散策する02/サンテミリオン村歩き#22

急坂の小道を1945年5月8日通りへ抜けた。
「ここがサンテミリオン村の外周を走る道だ。左へ行くよ。ペジュ通りを歩く、戻る感じになるんだがな、ウルスリン修道院跡Couvent des Ursulines(Unnamed Road, 33330, 33330 Saint-Émilion)へ寄りたいんだ。ウルスリン修道院も同じくサンテミリオン村を囲む城壁の外にあったんだ。左側だ。今は崩れかけけ廃墟になってるが」
「今日は中世の廃墟歩きね。教会も修道院も、アキテーヌの人たちは大事に守れなかったのかしら?」
「サンテミリオンは戦火の前線だったしな。それに宗教戦争を挟んで、今度はフランス革命だ。大半が破壊されたのは何とも仕方ないな」
少し歩くとペジュ通りは右へ鋭くヘアピンカーブするが、その根元に未舗装の道がある。
「この先だ」
「農道みたい」
すこし歩くとウルスリーヌ会修道院の荒廃した壁面が見えた。

「サンテミリオン名物のマカロンがあるだろ?あのレシピを作ったのがこの修道院だ」
「へぇ!そうなんだ。修道女たちの作るお菓子だったの?」
「ん。ルスリーヌ会修道院はパリ革命の時に強制的に解体。修道院は革命政府に取り上げられたんだ。修道女たちは散り散りになった」
「そのひとたちの持っていたレシピから、マカロンは村でも作られるようになったのね。でも・・ウルスリーヌ会って聞いたことない修道会ね」
「とても精力的な奉仕活動をする会だ。中世後半になってから組成された。いまも幾つか、世界に散らばって修道院があるよ。ドイツやベルギーやオランダにある。新世界に入ってきたのは割と早かった。とてもアクティブな会派だからね。だからカナダとアメリカにもある。アンジェラ・メルシAngèle Mericiという聖女が始祖だ。
1606年にボルドー大司教のスールディス枢機卿cardinal Sourdisとフランソワーズ・ド・カゼールMère Françoise de Cazèresが起こした騎士団だよ。聖ウルスラ騎士団Ordre de Sainte-Ursuleという。カトリシズムへの回帰と、民への奉仕を全面に押し出した修道会だった」
「そんな慈善活動を中心とする修道会まで、パリ革命は破壊したの?」
「ん」
僕らは廃墟となった修道院をしばらく見つめた後、ペジュ通りへ戻った。そして少し先の下りを右に降りた。ここからエコール通りへ入れる。狭い石灰の壁を抜けるとモノリス教会の尖塔が見える。
「この辺りはもう城壁の中になるわけね」
「ん。北側の城壁は、カサブランカ通りにその址がある。カサブランカ通りは途中で行き止まりなんだ。だから通りがかり似て歩くことが出来ないので、今日はパスしよう」
少し歩くとピエール・メラ広場Pl. Pierre Meyratにぶつかった。
「あら!観光案内所かある通りまでもどったのね!」
右側にLa Table de Pavie(5 Pl. du Clocher, 33330 Saint-Émilion)がある。ここは嫁さんののお気に入りレストランだ。
https://hoteldepavie.com/fr/la-table-de-pavie.html
「ねぇ、今夜のディナーの予約が出来るか、聞いてみない?」
「了解」

隣がオステラリー ドゥ プレゾンスHôtel de Pavie(5 Rue du Clocher, 33330 Saint-Émilion)だ。ここも嫁さんのお気に入り。ついでにホテルも今夜から此処へ移りたいと言い出すかとおもって冷や冷やした。
https://hoteldepavie.com/
良いホテルなんだけどね。

レストランの予約を取った後、前にあるサンテミリオン参事会教会Cloître de l'Église collégiale(549 Rue du Clocher, 33330 Saint-Émilion)に入った。
「ここは12世紀に聖アウグスティヌス修道会が建立した。それを14世紀になって教会の学校へ改修したんだ。いまは教区教会になっている」

回廊は30m四方あって大きい。何回か地元のイベントが開かれていた時に訪ねた事があった。
「なんども改修されてるからね、最初に作られた部分は東と南の開口部だけだそうだ」
「サンテミリオンの回廊の中でもここが一番きれいね」
「どんどん回収されたからな」
少し奥へ行くと聖具室がある。
「聖具室って、司祭が典礼の準備をする部屋なんだよ」
入口の所に建ってるのが聖ヴァレリーsaint Valéryの像だ。ルーコニーの隠者Ermite à Leuconayとも言われる。ワインを守護する聖者だ。Château Saint Valéryという生産者がいるよ」

ワインは隣接するMaison du Vin Saint-Emilion(1 Pl. Pierre Meyrat, 33330 Saint-Émilion)で出会える。
http://www.maisonduvinsaintemilion.com/

僕らはそのまま隣のOffice de Tourisme du Grand Saint-Émilionnais(Place des Créneaux Le Doyenné, 33330 Saint-Émilion)を覗いてからヴェルダン通りAv. de Verdunまで歩いた。

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました