見出し画像

ワインと地中海#29/フェニキア人とエーゲ海#01

フェニキア人たちはクレタ島を中心に、エウビア島、エーゲ海諸島(Samos/Lemnos)、キクラデス諸島(Palos/Santorini)、トデカネス諸島(Rhodes)、イオニア諸島(Corfu/Zanta/Lefcas/Cephallonia)に葡萄畑を起こした。もちろん使った葡萄はヴィニフェラ・ポンティカ Vitis vinifera ponticaだ。
エウビアEubee島は、サヴァティアーノSavatianoという白ワイン用の葡萄が有名だ。瓶詰されるのもあるが店舗向けに樽詰めされたものが中心で、アテネ当たりのタベルナTavernaで飲むレチーナRetsinaはだいたい此処のだ」
「レチーナって臭くて飲めなかったワインね。リカヴィトスの丘にあったお店で出たのでしょ?」
「ん。たいてい樽で持ち込まれるSavatianoワインは、素のまんまなんだが、これを店舗でフレーバー化するんだ。松脂を加えるんだが、店によってレシピが違うからとても面白い」
「おもしろくなかった。臭かった」
「失礼しました。エウビア・アティカAttica地区はとても有名でカンツアKantzaというA.0.H.Q.指定のワインが有る。松ヤニのパウダーの入れ方で,濃厚なもの端麗なものがあって、僕は日本酒に薫る杉香を思わせるくらいのものは好きだな」
エーゲ海東岸イズミルの傍にサモスSamos島という島がある。ここもフェニキア人が移植した島だ。此処はマスカット・オブ・サモスMuscat of Samosの発祥地だ。良質な甘口白ワインだ。もう少しエーゲ海の真ん中にあるレムノスLemnos島ではマスカットベース・アレキサンドリア種からマスカット・オブ・レムノスMuscat of Lemnosというのを生産している。こいつは秀逸だよ。レムノス島はサモス島ほど岩山だらけじゃないのが特徴でね、リムノス空港の近くにHadjigeorgiou Estate(Epar.Od. Livadochoriou-Karpasio, Karpasi 814 01)というワイナリーが有った。そこ行くためにVaros Village Boutique Hotel(Varos, Lemnos 814 00)というホテルへ一泊したんだが、此処が良かったよ」
http://www.varosvillage.com/
「色々なところへマメにいってるのね」
「すごく良かったから、今度はあなたを連れて行こうと思った」
「連れてって、今度じゃなくて明日、連れてって」
「ん。そだな。サントリーニからの直行便もある」
「そういえばサントリーニはいつも外の島歩きをしないわね」
「ん。飛行機だと、どうしてもその島に一泊することになるからな。一泊して歩ける島は早々ないから、気後れしちまうな。そうか・・一度キクラデス歩きをあたりでしてもいいな」
「僕は飛行機じゃなくてフェリーで、キクラデスのワイナリー巡りを2週間ほどかけてやったこと有るよ。あなたは船がダメだから、その選択肢がない」
「あらま、都合のいい言い訳をみつけたわね」
「あ。でもパロス島Palosがいいかもしれない。こんどサントリーニへ行ったときは寄ろう。キクラデス諸島は風が強いだろ?」
「北からの貿易風なんでしょ?フランスのミストラルのような・・山から吹きこんでくる風でしょ?」
「ん。サントリーニの葡萄畑もそうだけどね、栽培の方法が独特だ。葡萄の木は可能な限り低く植えられて、それを側枝や葉茎が覆うように作られる。そうして垂れ下がった枝の下に果房が出来るようにするんだ。パロス島で称されるセパージュは白はモネンパシアMonenvasia。赤マンディラリアMandilariaが多い」
「サントリーニと違うわね」
「サントリーニは、白がアシリティコAssyrtiko多いな。それと陰干し(ストローワイン)がある>アシリティコAssyrtiko、アイダニAidani、アチィリAthiriを使う」
「陰干しするときに藁の上に引くからストローワインというのよね」
「そうです。とりあえずデザートワインとして、全部飲んでるはずだ」


無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました