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day19―統合失調症患者の脳内ネットワーク

Brunet-Gouet, E. et al.(2006). Social brain dysfunctions in schizophrenia: a review of neuroimaging studies. Psychiatry Research: Neuroimaging, 148(2-3), 75-92.

統合失調症の脳機能について、レビュー

#100daysOfAbstract

背景

統合失調症は陽性症状として妄想、厳格、支離滅裂な発話、行動が認められ、陰性症状として意欲や自発性の低下が見られる精神疾患である。青年期以降に発症する場合がほとんど。

まとめ

心の理論など、社会性に関与している脳領域は広い。統合失調症は、様々な領域の不定形な成長(abnormalities)が重なることで起こる(要するに詳しくはまだよくわかっていない)。
一因としてドーパミン放出不全があり、異常行動につながる。
下頭頂小葉が関わる自他の区別、内側前頭前野と前帯状回が関わる文脈保持、認知コントロール、扁桃体が関わる社会的応答、恐怖刺激への対応がそれぞれ影響を受ける。
治療のアプローチとしては、ドーパミン放出を調節するための薬物療法、不定形な認知を修復するための認知療法がある。

所感

発達障害に対し、統合失調症は青年期以降発症するのが不思議。往々にして「障害」は「普通」ではないものを勝手にカテゴライズした概念であるため、その原因・対策は個々によるのでは。その結果「社会性」というこれまたふわっとした概念と結びつきやすいとしか思えない。その因果を脳のネットワークによって説明しても、納得できないと最近思うようになってきた。つまり、薬の開発など生物学的応用、医学的応用はありえても、心理学的応用、ひいては当事者の納得感にはつながらないと思っている。

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