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土壌劣化の原因~土の乾燥、有機物~(自然栽培)

土壌の劣化の原因は大きく分けて3種類あります。

一つ目は、土の中の有機物が減少し、保水性や透水性が低下すること。
二つ目は、土の表面が露出していることにより表面の土が乾き、風や水で流され、無くなってしまうこと。
三つ目は、土の中の養分が無くなり、植物が成長しにくくなること。

【有機物の減少】
健康な土に中には、普通は植物の根や、植物の破片(堆肥)、微生物(虫、菌、細菌)が大量に存在しています。
植物の根と微生物の関係はとても面白く、植物の根が増えると微生物も増えるような、お互いに影響しあう関係があります。逆に、植物の根が減ってしまうと微生物が増えません。また、ここがとても面白いところなのですが、植物の根が化学肥料に頼って土から栄養をもらわなくなると、土の中の微生物も激減します。
土の中の有機物(植物の根・破片・微生物)が減るとなぜ問題になるのは、ややこしいので結果だけ説明します。土の保水性、透水性が低下してしまうため、例えば雨が少なくなっただけで作物が枯れてしまったり、雨が降り過ぎただけで表面が水浸しになり、作物が腐ってしまったりします。
そのため、土を健康に保つためには土の中に有機物を(植物の根・破片・微生物)健康な状態に保つ必要があります。

【土の露出】
土の露出は土の中の有機物の減少とも関係しています。
土が露出しているということは、植物がそもそも少ないということなので、土の中の有機物が減りやすい状態になっています。この状態で、土に日光が当たれば、特に微生物は生きていくことが難しくなります。それにより、土の保水性・透水性が低下し、土が乾きます(または水浸しになります)。そうなると、土は簡単に風で飛ばされてしまったり、水で流されてしまったりします。
実は、植物が生きることの出来る土は土の表面の15センチ~30センチほどの地域が多いです。土が露出していることにより、毎年1ミリの土が風で飛ばされたり、流されたりしてしまうと、150年から300年で作物を育てることが出来なくなってしまいます。
(実際には、毎年0.01ミリから1ミリの速さで新しい「表面の土」が作られるのですが、土の表面が露出してしまっている場合は、新しく作られる量よりも失われてしまう量の方が多くなります。)

【養分が無くなる】
養分が無くなるのは、畑や水田の特有の現象です。
と言いますのも、畑や水田ではなければ育った植物はそこで枯れる(もしくは葉を落とす)ので、ミネラルなどの養分は土に戻っていきます。しかし、畑や水田の場合は、「収穫物」として養分たっぷりの実や種、葉が外に持ち出されてしまうため、植物が吸ったミネラルなどの養分は土に戻りません。
それを毎年繰り返していくと、やがては土の養分を吸い尽くし、作物が育たなくなります。
もちろん、有機肥料を加えてあげれば養分を補充できるので元に戻すことが出来るのですが、作物が育たなくなった後に、キャッサバなどの荒れ地でも育つ作物を育ててしまうと、土の養分が徹底的に吸い尽くされ、栄養を無くした皮膚のように土がカッサカサになります。皮膚であれば、下から新しい皮膚が出来てくるので保護していれば元に戻りますが、カッサカサになった土は容赦なく風や水で運び出されてしまうので、なかなか元に戻りません。
規模が小さければ他の土地から新しい土をもってきたり、有機肥料を与えることで大丈夫ですが、規模が大きければ容赦なく砂漠に変わります。

このような形で、土は劣化していきます。
そして、その原因は、まぎれもなく近年の単一栽培を主体とした農業です。

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