見出し画像

書くこと。

プレスの仕事シーンには「書く」が常につきまといます。
「シーズンテーマやコンセプトを書く」「リリース(商品PRのためのシート)を書く」「商品説明を書く」「特集コンテンツ用の文章を書く」「SNSを書く」「イベントの台本を書く」「デザイナーさんなどの取材記事を書く」などなど、たくさんの「書く」機会があり、”説明係”の役割を持つプレスにとって、相手に「正確にこちらの意図が伝わるように書く」ことはとても大事なことです。
そして、私はそんな「書く」仕事が大好きです。

最近の「書いた」仕事を思い返し、中でも印象に深く残っているものを。
担当するブランドの一つ、IENA LA BOUCLE 夏のイメージビジュアル特集。
新シーズンのテーマ/イメージをどうやって表現しよう。そこからスタートです。
洋服自体は「インド」を思わせるラインナップになっていて、そしてそれは夏のIENA LA BOUCLEの恒例でもあり、何度かファッションシューティングとして見せてきているカテゴリーです。
今までとは違った見せ方で新鮮に。見てくださった方に何か新しい引っかかりが出るように。
ブランドコンセプターや信頼しているフォトグラファーと相談を重ね、「インドといえばカレーだね」「インド料理のレシピを間に挟むのは?」などという話から
どうせなら、全カット、色々なインド料理を食べているシーンを撮ろう。という、これってファッション撮影なの?的な取り組みに苦笑いしながらもトライすることになりました。
テーマは「インド料理が好きな女性のファッションストーリー」です。
そこから協力いただけるお店を探し、撮影する洋服のスタイリングを組み、モデルを決めて、、本番です。

これは全く誉められたことではないと思うのですが。
私は撮影前にあまり細かく撮り方や内容を詰めません。
もちろんトンマナ(トーン&マナーの意味)のすり合わせや女性像のイメージ、撮影の方向性なんかは事前に打ち合わせしますが、なんというか、細かいポージングやロケーションなんかは現場判断です。
余白を持っておく、と言うとかっこいいのですが、その方が現場で気づきを持てる気がして。ガチガチに決めていると、決めたことしかできないというか。
撮影の現場はプロフェッショナルの集まりなので、その場でのアイデアや気づきがとても大事で、お互いの気づきや発想があるからこそ、イメージしていたものよりも何倍も素敵な仕上がりが待っているんです。
そして、それこそが現場の醍醐味。

話が「書くこと」から逸れてしまいました。
(撮影の現場についてはまたお話しする機会があれば。)
この企画での話で言うと、打ち合わせで出ていた「インド料理のレシピを特集内に入れるかどうか」もその一つ。悩みながら現場に入ったものの、そのまま「レシピ」として、料理写真と一緒に載せると違和感が出そうだったので何か別のもの、やり方、、、なんかを考えながら撮影の合間に料理名や材料名をお店の方に聞いておきました。
この時点では、どうやって使うかの具体案はまだハッキリとはないままです。
そして撮影は無事に終了。後日、フォトグラファーから撮影したアタリ画像(撮影した生画像。実際に使用するものを選んでからレタッチをしてもらい本データを作成してもらいます)をもらってここからは編集作業です。

アタリ画像をチェック・セレクトしつつ全体の構成を組んでいきます。
そうしながら、なんとなくこのモデル女性のストーリーをイメージします。この時点で今回の特集はやはりビジュアルだけで見せるのではなく、読ませるもの、を入れたいなとは思っていました。
(各カットごとに料理名をタイトルとして入れよう。)(あ、料理名だけじゃなくて、料理名と洋服のアイテム名を並べて入れると楽しいかな)
そして、(ここは彼女と私、が食事してるんだな。)と2人いるシーンが浮かんできて、、、
ここまでイメージできると一気に妄想の世界へ。文章も勢いに乗って、撮影の時に教えてもらったレシピの内容を入れ込んだり、後から追加で着ている洋服のことを内容に絡めたり。
それらを一人称バージョンと二人称バージョンと、の2バージョンにまとめてブランドコンセプターへ確認をとって指摘部分を修正、完成です。

デザインもイメージ通りに作ってもらえて大満足。
実際に公開後「これって文章は誰が書いたの?」と聞いていただくこともあって嬉しかったなあ。

もちろんこういったストーリー?ものを書くのは珍しく、大体は洋服やコーディネートの説明なんかを書くことの方が圧倒的に多いですし、プレス自身が長い文章を書ける必要が必ずしもあるとは言えません。(ライターさんにお願いすることもできるので)
ただ、発想をどう広げられるか、着地(出来上がり)のイメージを持つことはとても大切なこと。
この特集も特殊だったからこそ印象深く思いの深いコンテンツの一つになりました。

▽特集はこちらから
https://baycrews.jp/feature/detail/5408





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?