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『偽りの報道』 冤罪「モリ・カケ」事件と朝日新聞 長谷川煕

著者の長谷川煕(ひろし)氏は長年、朝日新聞や『AERA』誌の記者でしたが、自社の慰安婦報道釈明記事を読んで失望し、訣別を決意します。

私は2020年に刊行された広島への原爆投下について書かれた『疑惑: なぜB29は反転したのか?』を読んでから著者に好感を持ちました。というのも彼が自分の信念に対して忠実な硬骨漢だと確信したからです。

「加計問題」が一挙に発展したのは2017年5月17日の朝日新聞の報道でした。

獣医師会の既得権益を守るため、53年間も大学に獣医師を養成するための学部を新設しなかった岩盤規制に対して国家戦略特区で打破しようとしたのが安倍首相でした。その背景には口蹄疫の蔓延などで獣医師が不足していたという実情がありました。

「業界(獣医師・獣医学会)、政界(国会与野党)、官界(文科省、農水省)のなかの旧弊勢力が、気鋭の「出る杭」(加計学園)を打とうと策略を凝らし、仇敵・安倍政権潰しも狙って朝日新聞がアジ紙面を作り続けた」というのが著者の主張であり、事実です。

朝日新聞は当初から文科省内部文書の中の核心部分を意図して記事に入れていません。

以下は『徹底検証「森友・加計事件」朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』小川榮太郎氏によります。

5月17日の朝刊には『新学部「総理の意向」』というカット見出しに「文科省に記録文書」という主見出し。そして入手したスクープ文書の写真を掲載していますが、周囲に黒い円形のグラデーションを掛けて、一部しか読めないように加工しています。実はこの読めない部分にはこのような文言が書かれていました。

「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。

「見えるのではないか」という文言は逆に総理からの指示がなかったことになります。全文を報道すると、この記事は成り立たなくなってしまいます。

朝日新聞はこのように様々な「報道しない自由」を駆使して世論をミスリードしていることがわかります。

改憲を推し進める安倍政権は朝日新聞にとってはいかなる姑息な手段を使ってでも倒さなければならない敵でした。朝日新聞社のある人は「安倍の葬儀はうちで出す」「安倍叩きは社是だ」と言いました。それが朝日にとっての正義です。

著者は古巣の朝日を「もはや新聞ではなく、ただの紙である」と断じていますが、影響力があるという点で、少なくともクオリティーペーパーなどではなく、イエローペーパーであることは間違いないでしょう。

本書は安倍さんが全くの冤罪であると事実(ファクト)を積み上げて検証しています。
推定無罪の原則に照らし合わせても、人権派、リベラルを自認する左派の人たちやメディアは冤罪はあってはならないと主張していたはずです。

「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」を率いたデモで、ある大学教授が「安倍、お前は人間じゃない。叩っ斬ってやる」と大見得を切り、周囲は拍手喝采しました。

「安倍疑惑キャンペーン報道」によって火をつけられた国民、野党、メディアを巻き込んだ「安倍叩き」を見ると、私はあの醜悪な文化大革命を想起します。

「アベは息を吐くように嘘をつく」と言った人もいました。

安倍さんは、議員秘書時代から北朝鮮による拉致問題に強い関心を持ち続け「解決しなければ、(政治家としての)私の使命は終わらない」と訴えていました。拉致問題を「誘拐ではなくテロだ」という思いも改憲の悲願につながっていたことは間違いありません。護憲派がそこまで思いが至らないのか、知っていて触れないのか、どちらにしろ残念です。

東日本大震災の復興にも力を注ぎ、首相在任中、何度も東北地方に行っています。

2022年7月13日付の読売新聞の朝刊にこのような記事が載っていました。

2015年2月14日、気仙沼市の災害公営住宅を視察した安倍首相は当時五歳だった女の子に手作りのチョコレートと手紙を手渡されました。
その半月後、首相官邸から届いた手紙には首相直筆の署名があり、こう書かれていました。

「さりちゃんからおうえんしてもらったので、私もおしごとを、いっしょうけんめいがんばります」

安倍さんの訃報を聞いた菅前首相は「できるだけ早くそばに行きたい。安倍さんは寂しがり屋でにぎやかなところが好きだったから」と言っています。
こんなところにも安倍さんの人柄が表れています。

安倍さんは自分の信念を貫く勇気を持った人であり、家庭においては良き夫であり、戦後における最高の政治家であり首相でした。


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