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大学ラグビー日本一に学ぶ組織マネジメント

株式会社識学のオンラインセミナー「大学ラグビー日本一に学ぶ組織マネジメント」に参加しました。

「識学って何?」「識学的マネジメントって?」とかは、公式サイトを見ていただくとして、ラグビー好き💛大学ラグビー好き💛視点からまとめました。

第一部 立教大学ラグビー部における識学的マネジメント

スピーカーは立教大学ラグビー部ヘッドコーチの西田創さん
2016年にヘッドコーチに就任。自ら学びを高めるために、株式会社識学にご入社、さらに学ばれながらフルタイムのラグビー部ヘッドコーチとして活躍されています。

ご自身のphilosophy「道を創り、人を創る」を識学的マネジメントで立教大学ラグビー部をマネジメント。対抗戦B優勝、対抗戦A昇格を果たしました。

西田さんのマネジメントは、識学的2つの重要理論
1.変化率の発生
2.進行感による本質的動機付け
を、立教大学ラグビー部にあてはめることで、選手が自らをモチベートし適切な競争の中で成長そうです。そのポイントと具体例が紹介されました。

第二部 WASEDA復権

スピーカーは、早稲田大学ラグビー蹴球部コーチ後藤翔太さん。
早稲田大学は伝統校でありながら、帝京大学の9連覇+明治大学の22年ぶりの優勝に阻まれ続けて、2019-2020シーズン前10年間で優勝がありませんでした。2019-2020シーズンはヘッドコーチ以下が一新され、後藤さんは早稲田大学ラグビー蹴球部のコーチに就任。

(後藤さんの主観)早稲田大学に欠けていたもの=「Winning Mid/Culture」の欠如
1.独自性(戦略性)
2.目的意識(存在意義)
3.競争意識
を取り戻すことで、早稲田大学は11シーズンぶりに大学選手権優勝を果たした、と言うお話でした。

「荒ぶる」合唱の動画あり、斎藤キャプテンの涙あり、で早稲田大学の感動復活物語でしたが、感動だけに終わらず、組織マネジメントに活かす整理をされていました。

印象に残ったこと① 変化率の発生

立教大学ラグビー部のお話から。

「変化率」とは、識学で使われる用語で「一人のプラス成長が周りに伝搬して周りもプラスに変化すること」。ラグビーにあてはめると、チームスポーツだから一人が成長しても勝つことはできません。プラスの波が相手に伝搬して相手もプラスになり、さらにそれが循環することで、チーム・集団全体でプラスになっていく好循環を起こすことで、「勝つ組織」を作ります。

立教大学では、変化率の発生を「健全な競争環境」を作ることで、実現しました。健全な競争環境を作る上でのポイントは、3つ

①明確なルールを作る
(例)
・チームのルールを完全結果で整備(誰でもわかるように示す)
・どうすれば試合に出られるかを定量的に明瞭にする
 ⇒ 選手は求められる成果が理解でき、自らで評価できる。
②平等に評価する
(例)
・明確なルールをもとに試合に出るメンバーを決める。
 ⇒ ルールが明確なので、他責から自責の思考となり、自らで行動するようになる。
③選手とコーチが適切な距離を取る
・感情によるコントロール(愛を注ぐ、選手を励ます)を止める。
 熱い指導は、それ以外の選手に対して一時的に感情的不平等感を与える
 ⇒ 選手に一定の距離感を感じさせることで不平等感を取り除く

立教大学は、熱血指導で選手を上げて上げて成長させる手法ではなく、選手が自分を客観的に評価し、自分を変えるための行動する選手となることで強くなる、という手法を取りました。

印象に残ったこと② モチベーションは自らの中にある

西田さん、後藤さん両方で出てきた話から感じたこと。タイトルにすると当たり前のことのようですが、苦労した2チームのコーチの言葉は重いです。

立教大学ラグビー部では「進行感による本質的動機付け」として、本人が成長すること(進行感)によって、さらに頑張ろうと思うモチベーションを上げていきます。
選手に期限と目標を設定させ、期限が来たら評価者が評価する。ひょうかされ「できた」進行感によって自分をモチベートします。

早稲田大学ラグビー蹴球部では「目的意識(存在意義)」を持つことで、自らを鼓舞しモチベーションを上げていきます。
早明戦で負けてからの40日間をどう過ごしたか、さらには大学選手権決勝を前にして斎藤キャプテンが自らの言葉で決意表明を語ったときに、後藤さんは「目的意識(存在意識)」でチームが一体となったことを感じたそうです。

印象に残ったこと③ 早稲田3名将の違い

後藤さんのお話の中で、早稲田大学を優勝に導いた3人の監督の話が出てきます。

(1) 清宮克幸監督 (2001-2005) 優勝3回
(2) 中竹竜二監督 (2006-2009) 優勝2回
(3) 相良南海夫監督 (2018- ) 優勝1回

いずれも就任2季目で大学選手権優勝を果たしています。組織変革からすると比較的短い期間で結果を出しました。ですが、そのリーダーのタイプ、アプローチは三者三様でした。

(1) 清宮克幸監督 (2001-2005) 強硬なリーダーシップ
清宮監督は、「自分が引っ張り、自分が決める」リーダ。早稲田大学ラグビー蹴球部の歴史上初めてのフルタイム監督となり、様々な改革を行いました。今回のテーマ「マネジメント」の点で行けば、選手に求める成果を「スタッツによる明確化」を行い、プレーを点数化。試合メンバーとして求められる成果を数値で分かるようにしました。
また「アルティメットクラッシュ」とテーマを決めることでラグビー部を盛り上げるなど、言葉の力を信じている、言葉で動かす方だったそうです。

(2) 中竹竜二監督 (2006-2009) フォロワーシップ型リーダーシップ
清宮監督の後任である中竹監督は、「フォロワーシップ型」のリーダ。選手との対話を重視、ボトムアップ型・メンバーの自立(自律)を求めることででチーム全体を底上げするチーム運営を行いました。
清宮監督とは真逆のイメージですが、後藤さん曰く「人の話を聞くが、聞い聞いたうえで、自分のイメージしたところに選手を着陸させる。」結果的には清宮監督と同じく自らのイメージで導く監督だったようです。

(3) 相良南海夫監督 (2018- ) 組織で戦うリーダーシップ
相良監督の2季目、2019-2020年はコーチングスタッフが一新されました。後藤さんがコーチになりました。そこから一気に優勝に向けてビクトリーロード、2019-2020の大学選手権優勝までの道のりは、ここでは割愛します。

権丈ヘッドコーチを中心に、先進的戦術を導入し選手をトレーニング。後藤コートはコーチングスタッフとして、他のコーチを支え、また中枢選手を支えることでチームへの貢献をされました。

相良監督以下の体制では、「各メンバーが決められた役割を果たし、目的を達成する」。早稲田大学ラグビー蹴球部は、一人の強いリーダーに依存組織から脱却。コーチがひとりひとり責任もって役割を果たし、選手も目的をもって行動したことで核とした優勝でした。

編集後記

「女子高生がドラッガーの『マネジメント』を読んだら」のように、マネジメントをスポーツに実践できる例として分かりやすかったです。

ラグビー視点で言えば、立教大学の対抗戦Aへの昇格の裏にあった、コーチのご苦労やマネジメントの工夫が垣間見え、興味深かったです。これまでも選手やコーチのトークライブはありましたが、企業などの組織や他のチームでもすぐに活かすことができる「マネジメント」を知ることができました。

西田コーチ、後藤コーチ、識学さん ありがとうございました。

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