見出し画像

【観戦記】岩出監督、有終の美 ~ 大学選手権決勝 帝京vs.明治

2022年1月8日。
第58回全国大学ラグビーフットボール選手権の決勝が行われた。開幕前は新型コロナウイルス感染拡大が色濃く、不安もあるスタートとなったが、全チームとも無事に試合を行うことができ、(新)国立競技場を満席にできる決勝戦となりました。

対戦カード(見どころ)

決勝戦は関東大学ラグビー対抗戦同士の対決となりました。

対抗戦1位の帝京大学はv9以来4期ぶりの王座奪還を狙う。一方対抗戦では3位と出遅れた明治大学だが、歴代の優勝校である天理大学、早稲田大学を倒し決勝まで上がってきました。

両校とも強みは力強いフォワード。帝京はキャプテンであるPR細木選手を中心とした第1列でこれまで他校のスクラム、モールを圧倒してきましたた。一方の明治も「前へ」を伝統的なスローガンをもとに各試合でフォワード戦を制して勝ち上がってきました。

両校ともFW戦になることは意識して作戦を立ててくると思われます。FWを中心としてどう作戦を立ててくるか?が楽しみです。

会場の様子

会場は昨年と同様に国立競技場。
空の青さが眩しい晴天となりました。風は穏やかで観戦日和です。

会場内は超満員ではありませんが、早い時間から多くの人が来て会場を楽しんでいます。

私にとっては昨年の決勝以来の一年ぶりの国立競技場。
オリンピックが終わって1階席にあったカメラ用のスタンドがなくなり、座席になりました。その結果でメイン席(今回のチケット販売ではメインSS~メインS席)が増えたように感じます。

帝京大学は(いつも通りですが)フラッグを配布。私は2018年に販売した帝京大学の応援Tシャツも着て、すっかり帝京大学ファンのいでたちで応援テンションを上げてキックオフ待ちです。

試合展開

試合は全体的にはフォワード戦だったように感じます。
とはいえ、序盤から帝京SO高本選手、明治FB雲山選手がキックによってテリトリー(陣地)を広げるなど、多彩な展開を見せました。

もちろんスクラムをはじめとするFW戦も見応え満載でした。
どちらも負けられないスクラムは、帝京大学の熱量が押し勝ったような印象です。

それ以上にこの試合を決定づけたのは帝京のディフェンス。明治のWTB石田選手などの快足揃いのBKを走らせないディフェンスライン、自陣ゴール前で相手を止める強さが帝京を勝利に導きました。

帝京大学 27-14 明治大学

試合を終えて

ノーサイド。
決まった瞬間は帝京大学メンバーが感情を爆発させて喜びあったのの、すぐに明治大学と大学ラグビー恒例のエール交換後、健闘を称えあいました。ラグビー強豪校の2校だからこそ、大学に入る前から切磋琢磨してきた仲間たちとの絆を感じました。

優勝キャプテンインタビューでは、プレーでも感情を爆発させる細木キャプテンが、人目をはばからず号泣しながらこれまでを振り返りました。

敗れた明治大学は最後まで誠実な明治大学らしくありました。
優勝の胴上げに沸く帝京大学の横で最後まで観客に丁寧に挨拶をして会場を後にしました。

勇退する監督への贈り物

帝京大学は9連覇のV9依頼、4シーズンぶりに王者に返り咲きました。

今の選手にとっては悲願の初優勝。
大学生の4シーズンぶりということは、学年が1周しV9を知らない選手たちだけで優勝をつかみ取った、ということです。本当におめでとうございます。

試合中のプレー、特にスクラム前の気合入れとスクラムで押し勝った時の興奮を見て、この試合は「帝京の執念勝ち」に尽きると思いました。試合後の細木キャプテンの号泣を見て、どれだけの執念でこの試合に懸けてきたのだろうと推しはかることも熱狂を感じました。

その理由の1つを優勝校インタビューで知りました。

試合後の優勝校のインタビューで、長く帝京大学を牽引した岩出監督の優待が発表されました。まだ帝京大学ラグビー部が大学選手権で8強にも入るのが苦しい時代に監督に就任した。そこから26年、強いチーム作りの原点を「人づくり」に置いてきた名指導者でした。

キャプテンに伝えたのは2,3日前。それ以外のメンバーには決勝後のろかールームで勇退が伝えられました。2,3日間の細木キャプテンが一人で抱えた想いが試合でもインタビューでも爆発したのだと想像します。

そしてここまで帝京大学を育てた岩出監督へ、最後に最高の贈り物をし、有終の美を飾りました。

岩出監督、ありがとうございました。
帝京大学、優勝おめでとうございました。

そして、素晴らし熱戦で魅了してくれた帝京大学・明治大学の両校に感謝を。ありがとうございました。


サポートは「#スポーツ止めるな2020」活動資金、その他ラグビー関係のクラウドファウンディングや寄付に充てます。「いいな」と思ったら、サポートをお願いいたします。