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生まれてすみません。と1度は思いませんでしたか?

恥の多い生涯を送ってきました。
という物凄いパワーセンテンスで始まる、太宰治の人間失格。
人間失格というタイトルといい、生まれてすみませんという言葉といい、
太宰治は現代に生きていたら、どんなコピーライターもぶっ飛ぶセンスの持ち主だろう。
もちろん、日本を代表するような歴史の文豪であるのだが、今なお、若者の心を捉え続けているのは、言葉達に魂が込められているからだと思う。

私が太宰治と出会ったのは高校1年生の時。
学年で1番頭の良い同級生が、みっこちゃん読んでみたら?と勧めてくれたのがキッカケ。

その言葉達は、私のハートに刺さり、時にえぐり、あっという間に心酔していった。
もちろん全作品コンプリートし(思ったより沢山作品は残っている)、新潮から出ている白黒のデザインの文庫をズラリと並べ、悦に浸った時期もある。
作品の中でも、人間失格や斜陽、走れメロスなどが有名だが
好きになればなるほど、ユーモアやポジティブさのある作品の魅力にも取り憑かれ、1番好きな作品は、パンドラの匣だったりする。

小説はさておき、そんな太宰治の代表作と言える人間失格の映画を立て続けに2本見た。

1つは、小栗旬が主演。
これは初見だった。
2つめは、生田斗真が主演。
これは見るのは2回目だった。
どちらもストーリーは置いといて映像美が素晴らしく、それだけでも一見の価値がある。

エンターテインメントを意識されたんであろう、小栗旬バージョンは、本来の人間失格と言うより、太宰治の斜陽前後の生き様、と、そこに纏わる女性関係を軸として展開している。
特に、宮沢りえと沢尻エリカの熱演が私には印象に残った。
実際の私の中の、かず子(斜陽の元ネタ日記を提供したとされる斜陽の主人公)とはかなりイメージは異なったが、
沢尻エリカのセリフ、
私は愛より恋に生きると宣言したシーンは中々圧巻であった。
はっきり言って主役を食う演技だったんじゃないかしら。
私には、そう思えた。

そして生田斗真バージョンである。
こちらは人間失格のストーリーに忠実に、淡々と進んでいく。
小説通り、伊勢谷友介演じる堀木は憎らしく、サイドを飾る女優さん達は小説のイメージ通りだった。
何より、若き日の生田斗真の演じきった感も凄くて、見てるこっちまで病んでしまいそうだった。

私は、小説の類はほぼ文庫で買っていたのだが(場所を取るのが嫌なのと、手軽に読みたいから)
30代のある時、CDと一緒に全て処分した。
何故なら、それらは私を救ってもくれたが、逆に狂わせられた物でもあったから。
その時は、子育てに終われ、そう言った文化的な物とさよならし、子育てだけに集中しようと思ったのだ。
なので、今、手元には、何度目かに買ったパンドラの匣と斜陽と女生徒位しかないけど、また買え揃えたいなと思っている。

小説って良いよ。ほんと、好きです。

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