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保育所が女性の働く機会を奪う?

新年度も開始してひと月が経とうとしています。保育所担当では年度更新にかかる業務もようやく終わりが見えてきていますが、今回は年度更新業務を通して気になったことで、特に「就労証明書」が社会全体にとってけっこうマイナスなインパクトを与えているのではないかと思ったので、そのことについて触れたいと思います。


就労証明書とは

すでにご存じの方も多いともいますが、保育所の利用には保育を必要としていることを証明するものの提出が必要です。保育所を利用する保護者の大半は就労しているため、このことを証明するものが必要になります。これが就労証明書です。

https://kodomoenkyokai.or.jp/wp-content/uploads/2023/05/dbca87396e9a9d18cbd10eb8443beca1.pdf

年度更新時に気づいたこと

この就労証明書を全件チェックするのが保育所担当にとっては年度更新時の一大イベントとなっています。保育所の新年度入所にかかる選考、入所可能児童に関する諸手続き、選考後も空きがある保育所については2次選考、3次選考、といった感じで業務が目白押しになる中で、ほぼ全ての保護者分についてチェックしなければならないという、すさまじい業務量になるのがこの時期です。

また、どういった部分をチェックしなければならないのかというと、雇用期間や就労時間が主なところで、雇用期間が2024年3月で終わっていないか(これめっちゃ多かった)、就労時間に応じた給与支払い実績となっているかといったところを見ています。そして修正が必要となれば再度通知書を送り、提出を待つという流れになっています。

子ども子育て支援新制度が始まるまでは雇用されているかどうかさえ見ればよかったのですが、新制度によって「保育標準時間(11時間)」と「保育短時間(8時間)」と認定時間に差をつけなければならなくなっています。このため全件チェックに加えて時間変更が生じるときは変更処理をした上で保護者及び保育所に連絡を入れなければならず、現場では相当な負担になっています。

国も証明書をマイナポータルから提出できるようにすることで簡略化しようとしているようですが、そもそも新制度で保育認定時間のチェックや変更といった業務そのものが増えているので、提出にかかる手間を減らしたところで役所の負担が劇的に改善されるかというとそうとは言えない現状です。

有期雇用の増加による現場の負担増

先ほど2024年3月で終了している人が多いという話に触れましたが、この1年やってきて強く感じたのは有期雇用が増加しているということ。有期雇用なので就労期間に限りがあり、期間の終了が近づくと改めて証明書の提出をお願いすることになります。ただ出してもらうだけならいいのですが、それに基づいて期間の更新処理を行い、改めて更新後の通知をお送りして、という業務も同時に発生するため、日常業務で無視できない量の作業時間が発生してしまっています。

有期雇用が増加していることから、この「無視できない量の作業時間」が年々増えていく傾向にあるということになります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshikikagaku/44/2/44_20220820-63/_pdf

引用しているのは「組織科学」という学会誌ですがここでは女性の有期雇用率が40年前は3割ほどだったのが今では5割を超えているということ。保育所を利用している方のほとんどが父母ともに就労しているとすると、その半数が有期雇用となっていてもおかしくない計算になります。現場の負担が減る見込みは少ないかもしれません。

逆に女性の働く機会を奪っているのでは?

雇用期間が終了するたびに証明書の提出が求められることは、保護者にも就労先にも負担がかかることを意味します。このような状況では、保護者は毎回の証明書提出に追われ、就労先もその手続きに時間とコストを費やすことになります。また、雇う側もしょっちゅう証明書の提出を求められるような人材を雇うことに二の足を踏む可能性があります。

そもそもこの「就労証明書」を書いたところで雇用主になんの報酬も発生しません。役所ですら課税証明書や登記簿謄本の作成は有料化しているのに。証明書作成にも一定のコストがかかっているのは役所も民間企業も同じはず。そういった想像力を働かせる必要もありそうです。

まあ雇い主が証明書を書きたくないから雇いませんということは言わないまでも、これからこどもを産み、育てようとする女性が働こうとした際に、それを阻害するようなことになるのだとしたら、何のための子ども子育て支援新制度なの?と思わずにはいられません。

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