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自己肯定感と運の良さ

 私の友人に自己肯定感が低い女性がいる。

 容姿は整っており、オシャレも好きで、コスメには詳しいし、服のコーデを考えるのも大好きな可愛らしい子だ。

 しかも、人の幸せ話を聞くとテンションが上がって、一緒になって大喜びしてくれるとてもいい子である。本当に優しい子だ。話していて気持ちが良い。

 笑顔も多く、明るいので、一緒にいると本当に楽しい。

 しかし、自己評価だけが異様なほど低い。

 たとえば、誰かのためにちょっとしたプレゼントを買ったのに、「これを渡したら迷惑じゃないか。私からのなんていらないんじゃないか」と悩みすぎて、結局プレゼントが渡せないことがしょっちゅうある。

 自分は気を遣われなくても平気だが、相手には病的なほど気を遣ってしまったり、待遇が悪くても甘んじて受け入れたりする。私なら抗議する話も「仕方ないから」と甘受している。

 自分を褒めることはなにも思い浮かばないが、ダメなところは何個だって思い付く。こちらから10褒めたとしても、「そうは思えない」と否定することもある。

 人から悪口を言われているということは感じないらしいのだが、自分を褒めたり価値を見出したりするのがすごく下手なのだ。

 それはそれでアイデンティティなので本人が気にしていないのならいいのだが、彼女は自己肯定感の低さを改めたいらしく、1日10個自分を褒めるという作業を数ヶ月始めていた。多少は改善されたらしい。

 そんな彼女だが、本当に運が悪い。タイミングも悪い。なぜそこまで引きが悪いのかというくらいツイていない。

 仕事だと、嫌な先輩がいる部署へ異動するとか、いい次長だったのに彼女が異動したら休職してしまったとか、楽と言われていた部署なのに、彼女が異動になった途端に業務が複雑になって残業必須になったとか。
 学生時代からクラス替えも席替えも散々だったため、学友からは「本当にツイてないよね」と同情されていたものだ。
 好きなライブのチケットも取れないし、取れても席が悪かったりするし、と惨憺たる結果だ。

 しかし自己肯定感を少しずつ上げてから「ツイてない」という言葉を口にするのが少なくなった。

 本人に聞いてみると、「なんとなく良いことが起こるようになったし、ツイてないと思うことも少なくなった」とのことだった。

 一番実感しているのが、酷く嫌なことが起こるのが少なくなったことだ。

 自己肯定感を上げ始めてからは、次長は復帰の目処が立ったし、嫌な先輩とはほとんど関わらなくてよくなったし、ライブのチケットもちゃんと取れたし、と良いことがあったようだ。
 業務は相変わらず忙しいが、それでも人間関係が悪くないので嬉しいらしい。

 自己肯定感が低いということは自分を大事にしていないということ。

「自分は雑に扱われて当然です。どうぞ雑に扱ってください」と言っているようなものだ。

 そんなことを言っている人間には、やはり幸福は来にくいのかもしれない。雑に扱っていいんだから、雑に扱われるのは仕方ない。

 それか自分が大事にされてないと思っているから、人から手を差し伸べられた時に無意識に振り払ってしまい、チャンスを逃しているのだろう。

 運を引き上げる一番の方法は、まず自己肯定感を高めるところにあるのかもしれないと友人を見ていて感じるのだった。

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