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夏目漱石の名作に登場するお茶・紅茶への思い 8

Ⅱ 漱石と紅茶 3



❸『心』
「奥さんは手に紅茶茶碗を持ったまま、笑いながらそこに立っていた。・・・私はそこで茶と菓子のご馳走になった。・・・奥さんは飲み干した紅茶茶碗の底を覗いて黙っている私を外らさないように、『もう一杯上げましょうか』と聞いた。」(『心』十六)

「奥さんは飲み干した紅茶茶碗(こうちゃぢゃわん)の底を覗(のぞ)いて黙っている私を外(そ)らさないように、「もう一杯上げましょうか」と聞いた。私はすぐ茶碗を奥さんの手に渡した。
「いくつ? 一つ? 二ッつ?」 妙なもので角砂糖をつまみ上げた奥さんは、私の顔を見て、茶碗の中へ入れる砂糖の数(かず)を聞いた。」(『心』十七)    (つづく)

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