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走馬灯のセトリを考えてみた


ここ10年、テレビをほとんど観なくなったのですが

久しぶりにリアルタイムで観れたことに感動した番組がありました。


もはやタモリさんの番組

世にも奇妙な物語


『世にも奇妙な物語』(よにもきみょうなものがたりは、フジテレビ系列で1990年4月19日から放送されているオムニバステレビドラマ。

Wikipediaより


そう、何を隠そう この番組は私と同い年っ!!(知らんがな)

たまたま旦那さんがテレビをつけたら放送中だったので、「観たい!!」とワガママを言って久しぶりにリアルタイムで観ることに成功。(神様仏様旦那様ありがとう)

ちなみに過去作品でお気に入りなのは、

「イマキヨさん」
「美女缶」「美人税」
「おばあちゃん」

など。

過去にこの番組を観ていたとき、ストーリーの合間で突然白い画面に黒い点がテレビに現れ、

“指をあててみて”という文字が表示されました。

興味本位で指を当ててみると、当てた部分から突然血が流れてきて「痛い!」という錯覚と共に急いで指を画面から離しました。

だけど、実は血が流れているのは画面の中だけなのです。騙されたァァァァ!!!でも、まだ指先がまだ痛い気がする。。

これは視聴者の痛覚錯覚を引き出したかった、番組の悪戯なのです。

当時、こんなクリエイティブな放送をしている番組は無かったので

かなり衝撃を受けたのを覚えています。

一気にファンになりました(ドMなのかな?)

そして先日観た番組の中で、色々と思うことが多かった作品について遺させてください。※ネタバレあります

作品のタイトルは、

「走馬灯のセトリは考えておいて」

〜あらすじ〜

近未来の日本ではライフログを活用し、ライフキャストを生み出す技術が発展していた。ライフログとは、ある人の生前の生活、趣味趣向、口調などのデータであり、それを上手くロボットに注入できると、その人そっくりのまるでクローン(ライフキャスト)を生み出すことができる。小清水イノリ(西野七瀬)は質の良いライフキャストを造るライフキャスターと評判になっていた。しかし、イノリは「あんなのは魂のない人形」と言い、良く思っておらず、仕事を辞めようと考えていた。そんなある日、イノリのもとに、かつて一世を風靡したバーチャルアイドル・黄昏キエラのライフキャストの制作依頼が届く。50年以上前に人気を博したバーチャルアイドルのライフログを集めるのに苦戦するイノリだが、次第にキエラの過去の隠された秘密にふれていき……。

フジテレビ公式HPより


原作はこちらのようです▼

まさに今の時代に合わせてきた作品でした。

ライフログを活用したクローンの作成。

非現実的(世にも奇妙)な話ではなく、少し先の未来ではありえそうな生々しさが美しくて悲しかった。

ドラマや映画やアニメや報道でも、すぐ自分自身に当てはめて考えてしまう癖があります。

コレはコレ、私は私。と割り切って観れないことが多い。

だからこそ、非現実的な「世にも奇妙な物語」に幼い頃からハマっていたのかもしれません。

会いたい人のクローンを作れるとしたら。作りたいと思うだろうか。

ライフログのデータが必要なので、身近で関係性のあった人でないと作るのは難しそうですが。。

きっと、クローンを作りたいと思う人は世の中にたくさんいるんだろうなぁ。

あくまでクローンなので、性格のデータから作られた喜怒哀楽や行動欲求はあっても

生理的欲求は無い。そんな設定でした。

映画ナタリー 公式HPより

登場するお父さん(左)は、娘(右)にご飯を作ってあげるんです。でも、一緒に食べるシーンはない。

なんでだろう?と思っていたら、

お父さんはとっくに亡くなっていた。娘によってつくられたクローンでした。


ただただ辛かった。


生理的欲求の共有は、“生きてる”の共有で。

亡くなってしまった人との“生きてる の 共有”は、

“どんな技術をもっても成し得ない幸せ”だということ

だから、大切な人のクローンが傍にいても
私だったら苦しいんだろうなぁ。と思ってしまったのです。


バーチャルアイドルのクローン化!?


作品の中の主人公は、クローンを作る仕事をしています。
ある日、元バーチャルアイドルだったお婆ちゃんから「自分が死んだ後、ファンでいてくれた人達に向けてラストライブ(お葬式)をしたい」という依頼を受け、50年前のバーチャルアイドルのクローンを作ることになります。

バーチャルのクローン・・・?
(つくりものの、つくりもの的な)

考えただけでややこしや〜。

バーチャルの世界でのアイドルには、生身の人間としてのデータが乏しいので...主人公は苦労します。

それでも、お婆ちゃんとの協力でなんとかラストライブを開催するまでに至ります。

ライブを眺めていた主人公は、自分が作ったアイドル(クローン)の僅かな身振りや癖から、依頼者の姿を感じとるシーンがありました。

「クローンなんて所詮は偽物。そこに魂はない」と思っていた主人公が、自分の作ったクローンに依頼者であるお婆ちゃんの魂を感じてしまった瞬間でした。

走馬灯のセトリ

最期の瞬間に視える景色を組むように今を生きる。


クローンとして蘇ったバーチャルアイドルのラストライブを、“走馬灯のセトリ”と題して描いている点。深いなぁぁぁぁ

あなたなら、何を走馬灯(蘇る記憶)として遺したいですか?

いざ 走馬灯が視えたその時、特別な思い出よりも潜在意識に組み込まれているような

記憶にも残らない日常の何気ない風景が映し出されるんだろうなぁと思うし、

そうであってほしいなぁとも思います。

全てを失いそうな瞬間こそ、本当に大切なものを思い出したい。


私のセトリ


01.点滅する信号
02.子どもたちの話し声
03.まわっている洗濯機
04.自転車の鍵をかける音
05.夕暮れ直前の空
06.夜の公園のブランコ
07.揺れる水たまり
08.ほどけた靴紐
09.廃墟のような建物
10.強い風に散る桜


どうか、亡くなった人のクローンをつくれる未来なんてきませんように。

人は大切な人達の死を受け入れながら生きるからこそ前に進めるし、命を繋ごうと思える。

魂は目に見えないところでこそ感じられるものだと思っています。


大切な人達のラストライブが、穏やかでありますように。

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