最近見た映画の中で印象に残っているもの

 映画館で観たりアマプラで観たりした映画の感想です。最近じゃないのも混じっており、やや記憶が薄れているので記述も少ないです。核心的なネタバレは含めていませんが未見で情報を得たくない人はページを閉じるか薄目で通り過ぎるかしてください。

すずめの戸締まり

 なんか……新海誠の映画って面白いとか面白くないとかはどうでもよくて、“新海誠”を浴びに映画館に行くみたいなところがないですか? ない? そうか…… いや、まあ面白かったですよ。扱ってるテーマについては色々あるけど、“今”だからこそ観ることに意味がある映画だな、と思いました。ありきたりな感想ですが。

SEARCH

 面白かった。
 父親が失踪した娘を、娘のPCを覗いたり(犯罪)、インターネット検索を駆使したりして捜索する、すべてがPCディスプレイ上で展開される(ちょっと無理がある)映画。ある種のソリッドシチュエーションと言えなくもない。伏線の組み立てが上手い。オチがよかった。続編出るってマジ?

ギルティ

 面白かった。
 オペレーターが誘拐された女性からかかってきた電話だけを頼りに事件を解決に導こう……という映画。
 なんか大きく出たね、というタイトルだが、観終わってみるとまさにギルティだね、という納得が得られてよかった。

Pure Japanese

 面白かった。
 ヤクザや代議士に嫌がらせを受けている女子高生がディーンフジオカ演じるアクション俳優と出会い……というあらすじからは想像もできない制御不能のストーリーが転がっていく。某キャラがあっけなく死んでから結末にいたるまでの流れはこの手のフィクションの約束からは外れたむちゃくちゃなものなんだけど、散見されるダメな投げっぱなし映画とは違いある種の納得を感じてしまう恐ろしい映画。

100日間生きたワニ

 微妙。
 原作漫画に忠実にやることと、映画として面白いものにすることは多くの場合両立するのが難しく、この映画もその御多分を出ていない。原作再現で擁護するには難しい露骨な尺稼ぎもある。というか、そもそもあらゆる意味であの漫画は映画化に向いてない。
 ただストーリーはかなり真面目で、原作に真摯に向き合ったものであることは間違いなく、そこは好感が持てる。純粋な原作ファンなら観ておいて損はないと思う。予告編は観ないほうがいい。

ピンク・クラウド

 面白かった。
 吸うと10秒で死ぬピンクの雲が突如として世界中にはびこり、閉鎖空間での生活を余儀なくされる……という設定の映画。パニック映画のような設定だが、雲は物語上のギミック以上の存在ではなく、そういった世界で人々はどう暮らしていくか、というところに焦点が当てられた映画。SF映画といったほうがイメージは近いか。いくらドローンで食料品その他は配給できると言ってもインフラの整備が出来ずに滅びるんじゃないか? みたいなことは思ったけど、これはわりとこの映画的にはどうでもいいことなのだろう。
 物語に露骨な悪意を持った人間は描写されず、逃げ場のない空間で意見がすれ違い、衝突し、家庭内の分断が克明に描かれる。ハッピーエンド、とはとても言えないが、では悲劇的な結末なのかと言われるとそうも言い切れないのがおもしろいところかもしれない。雲がなぜピンクなのかというと、フェミニズムの暗喩なのだそうだ。なるほどな~

フラ・フラダンス

 面白かった。
 めちゃ真っ当な成長青春映画。劇中のアイドルのライブシーンが異常に凝っていて、本当はこっちがやりたかったんじゃないかと邪推してしまう。
 重要な男性キャラの声優がディーンフジオカだったため彼が登場するたびに妙な緊張感が走ったが、PureJapaneseを観てないとなんのこっちゃな話である。

#マンホール

 つまらなかった。
 結婚式を明日に控えた男が飲み会の帰り道にマンホールに落ちてしまい、脱出を測る……というソリッドシチュエーション・スリラー。公式サイトでイヤに強調されている「ネタバレ厳禁!」の文字からそこはかとない嫌な予感はしたのだが、私はソリッドシチュエーション・スリラーが好きなのでつい見てしまった。
 マンホールという狭い空間の中、録画機能を使ってマンホールの外の景色を撮影することで現在地を特定しようとしたり、助けを求めるSNS(Twitter)アカウントのプロフィールにアイドル画像をダウンロードして加工したものを使ったり、カメラロールから怪しい人物を探して犯人を特定しようとするなど、スマホならではの描写が解像度が高く良かった。
 しかし物語後半のどんでん返しから一気によくわからない映画になってしまう。主人公のとんでもない過去が明らかになるのだが、そのために前半パートの描写と大きく違和感が生じてしまうのだ。途中、主人公はSNSで「誰かの恨みを買っての犯行では?」と訊かれ、同僚の妬みや過去の交際女性などの線を考えるのだが、どう考えてもこれはおかしい。絶対に忘れるはずがない“恨み”が別にあるのだから……
 脱出手段、ラストの“犯人”との対決もなんか浅い。前半の積み上げが後半にまったく効いてこない映画だった。ネタバレ厳禁をうたう邦画なんてこんなものかと偏見を強めてしまうばかり。途中までは結構面白く見れていたので惜しい。「SEARCH」みたいに最後までネットパワーを巧みに使って演出するか、「ギルティ」みたいにちゃんと主人公の罪と向き合わせていれば面白くなったろうに。

呪術大戦

 う~ん……評価に迷う。面白かったと言いたくはないがつまらなかったで片付けたくもない。
 有名ジャンプ漫画にあやかったのかな? という邦題。とにかくハッタリが効いていてよかった。呪術バトルシーンはかなりかっこよく、推理パートもおしゃれ。途中まではかなりよかったのにラストバトルになって良くないほうのB級映画になってしまった。火竜VS白虎がそういうことだなんて普通思わねえだろ!
 「呪術師の設計だ」「幻境か……」「封印されている!」「体当たりだ!」などは明日から暗夜迷宮でも使える名言です。

ガンズ・アキンボ

 面白かった。
 髭面のダニエル・ラドクリフがネット荒らしやったり両手を銃にされたり両手が銃にされたせいでズボンが履けなくなったり吸入器を使えなくて死にそうになったりションベンを撒き散らしたり八ヶ月前のホットドッグを食ったりする映画。これだけで面白いと思った人はこのページを閉じてすぐアマプラで観てください。
 描写はコミカルなんだけど話としては結構真面目。わりとシビアに人が死ぬし、しょうもないおっさんだったラドクリフも戦いの中で成長していく。シビアに死なないときと死ぬときの違いがよくわからなくてちょっと困惑する。まだちょっと消化しきれてない。
 ラドクリフ虐待以外にも、インターネットの衆愚についての描写が真摯で、そこもよかった。

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