家族を越境する他人
近頃、訪問看護師さんが来るようになってから、人間をつがいにして、二人(あるいは数人)きりで密室的状態に閉じ込めることの是非を激しく思う。昔、種村季弘氏のエッセイを読んで驚いたのは、東京でさえまだ、純粋な意味合いでの核家族で氏が育っていなかったことである。何かあるたびに、お寺のお坊さんが種村宅(だけではなかったに違いない、)に寄って、「手のかかる子ども」であった氏の行く末について、あれこれと、トラブルを起こした場合はこういう対応をなさいとか、あるいは高校進学の際は、氏にはここの