メガネを借りて、いろんな世界を見たい
わたしは、2020年の秋に、学内のピア・サポーター(以下、PS)として活動を始めた。
なんで、わざわざ大学3年生にもなって活動を始めたのか、正直いまでもあまり覚えていない。
けれど、その前に入っていた学生団体で「頑張れなかった」記憶だけが残って、このまま学生生活を終わりたくない気持ちもあった。
大学1年生の冬に、怪我で車椅子生活を送ることになったことがきっかけで、「障害者支援」に興味をもっていたことだけは微かに覚えている。
あとは、大学3年生の夏に、社会福祉関係の施設で実習をして、そこで手話を使う機会があり、手話をもっと勉強したいと思い、PSで勉強をできるなら続けたい、それぐらいの気持ちだった。
そして、PSとしてのキャリアのスタートは手話、そして聴覚障害となった。
実際、活動してみて、大学から委嘱を受けていることもあり、それなりに責任が伴ったり、守秘義務があったりと守るべきルールのようなものも色々とある。
また、PSの中でも、いろんな活動があり、個々の興味によって内部で様々なキャリアを構築していくことになる。そこに勝ちも負けもないが、周囲の学生の優秀さに打ちひしがれることもあるし、どの活動にもスペシャリストがいるので、「敵わない」と思い、悲しくなることもある。
確かにシビアな側面はあるが、それ以上に得られるものも多い。
例えば、街を歩いているときに、スロープを見て「車椅子で移動するには急すぎるかも」とか、ポスターを見て、「色覚に異常がある人が見たらわかりづらいかも」とか、本来気づけない視点が身につき始めた。
PSの仲間と遊んでいる時も、たまにそういう話が自然と出てくる。
自分の考え方に、「ひとりでは見れる世界は限られている。だからこそ、外に頼って、いろんな世界を見に行こう」というのがある。
自分1人では、到底気づくことのできなかった世界に、気づかせてくれた。
それが、ピア・サポーターとしてのお仕事の1番の魅力。
これからも、あと最大2年間、PSというメガネを借りて、わたしには見えない世界をみてみたい。
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