Fiction

歌詞を書いている。中学生の頃とかはいわば厨二病のやり方だったし、今思えばめちゃくちゃ恥ずかしいのかもしれないけど、それから十年経ってもまだ書き続けているので多分そういう生き物なんだろうな、と自分のことを理解し始めている。

無論年をとった分内容はだんだん変わってきていて、まだ自分の中では体系化されていないけれどなんとなくの「書き方」みたいのは掴んできた。それは純粋に語彙力の向上もあるし、聴いてきた曲数もあるし、「まあこういう歌詞ならこんな感じのことが続くでしょうね」みたいな経験によるものが大きい。
最初の頃は「誰にも書けないものを書くんだ!」と意気込んでいたが、今になって思うとそれでは結局型のない駄文(駄詞?)にしかならない。予想を裏切るウルトラCを出すには予想通りの答えを持ち合わせていないといけないのだ。
クリシェになるが「型破り」になるためには型を習得しなくてはならない。これは作曲もそう。というか創作活動全般が、そう。

最近は「まあ歌詞なんて意味ないしな」と思いながら書いている。もちろん、他のアーティストの曲を聴いて「いい歌詞だな〜」と思うことはたくさんある。だけど、じゃあ自分が書きますってなったらあんまり考えない。意味がどうっていうよりは、語感。言葉が持つリズムの方が大事で、作詞をしているときには言葉はただの音声記号になる。
ただそれがいい/悪いという話ではなくて、「ま、そんなもんなんだよな」っていうだけだ。ちなみに僕はこのnoteを書く時もかなりリズム感で書いてる。かっちりしたメールではないのだから当たり前だけど、勢いで書いた文章を勢いで読んで欲しい。

歌詞の話に戻るけど、「この歌詞に誰か/何かモデルはあるの?」と聞かれた時には「部分的にそう」としか答えられない。とある箇所、例えば1番のAメロのこの部分はこないだ観たドラマの主人公の感じで、最後のBメロのところは久しぶりに会った友達のことを思って書いたよ、とか。
一貫されたイメージってあんまりなくて、たまに曲全体で「んー、これはあの人のことっぽいな〜」と書き終えて思ったり、「あー思い浮かばんからこっから先はあの時のこととか書いちゃお」みたいなもんで、「めちゃくちゃ思い入れのある歌詞です」みたいのはあんまりない。
世間の歌詞書き人(かしかきびと)たちはどうやっているんだろうな〜。どうしよ、「めちゃくちゃ1人の人の事を想っています」とかだったら。なんかごめん、ってなるかも。

あとは僕は結構引用をする。まるまる持ってくるというよりはなんとなく元ネタに近いフレーズとかを入れ込んだりもして。
例えばとある曲の"the remains of my days in drunk"はカズオイシグロの『日の名残り』の原題からとってるし、"It Ain't So"はWeezerの楽曲"Say It Ain't So"と「嘘だと言ってよ、ジョー」という「シューレス・ジョー」の逸話と、それを元にしたガンダムのセリフから。
他にもまだまだいろんな元ネタがあるけれど、あえて伏せておく。というか全部は思い出せない。

ま、そんなこんなで今週もまた粛々と新曲の歌詞を書き続けています。所詮、歌詞なんてフィクションだと思ってて、「大丈夫だよ」とか「四六時中考えてるよ」とかそんなのって現実ではなかなか言えないので、まるでドラマか映画の世界みたいな気持ちで心地よいセリフを考えている感じ。
もうすぐ色んなお知らせができると思う。楽しみに待っててくれると嬉しいかもね。

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