ピアス

「高校生の時、付き合ってた彼氏に安全ピンで穴を開けてもらったんだ。」
当時の上司のピアスが可愛かったからピアスの話をしたら上司がピアスのエピソードを話してくれた。とてもいい思い出だと言っていた。ちょっとエモくて羨ましかった。私もいつか上司のように誰かにピアスの穴を開けてもらえたらいいなと密かに思っていた。

ある日、私は思い立って、ピアッサーを2つ買って彼に会いに行った。
彼にお願いしたら躊躇する様子もなくいいよと言ってくれた。
耳元でバチンと音がする。
耳たぶが痛くて熱くて、高揚感が高まる。
彼の存在を体に刻むような感じがしてドキドキする。
彼に上司のピアスのエピソード話すと笑っていた。
私はこの日を忘れない。ピアスを付けるたび思い出すだろう。どれだけ歳を重ねても体に残り続けて思い出すのだから。

人生の中でキーパーソンになる人物って少なからず居ると思う。
きっと彼はそんな人。私の人生で忘れられない人。

あの日、ピアスを開けた日、私は彼に忠誠を誓ったんだ。

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