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【解説】$112,000 / Sasakawa看護フェロー海外留学奨学金

公衆衛生学、疫学、保健政策、人口動態、生命科学・医療、看護学のアメリカ・カナダの修士または博士課程への留学を希望している方には是非チャレンジしてもらいたい奨学金が「Sasakawa看護フェロー海外留学奨学金」。Webサイトを読んでも、フェローの方々を金銭的な面だけではなく、精神的にも手厚くサポートしている様子を感じた奨学金です。

忙しい社会人の方向けに、本奨学金の概要を紹介します。

※奨学金の概要説明の中には、(みりんのひと言)として、私の感じたことを一緒に記載しています。私自身は、看護や医療が専門ではないですが、イギリス留学で奨学金を2つ獲得した経験から、奨学金獲得のコツなどを紹介しています。参考になれば幸いです。


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支援団体:笹川保健財団

1974年にハンセン病根絶を目標として設立された団体。現在は、ハンセン病対策、地域保健の推進が2 本の活動の柱。

(みりんのひと言)本奨学金への応募を考えているのであれば、特に本奨学金が対象としている「地域保健の推進」に関しては目を通しておくことをおすすめします。

ハンセン病対策に関する活動:https://www.shf.or.jp/leprosy/

地域保健の推進に関する活動:https://www.shf.or.jp/community_health/


奨学金の目的:看護職リーダー育成

2021年7月に新設された本奨学金は、特に地域保健の推進面でのリーダー育成を対象としているようです。

今日、医療従事者の過半数を占める看護職には、診療の補助といった従来の役割を超える役割が求められています。本プログラムは、広い視野を持って世界の姿を明晰に捉え、地域の身体的・社会的健康を看ることができる看護のグローバルリーダー養成を目指します。科学的に思考し、課題解決を図ることができる看護職リーダー育成のため、アメリカおよびカナダの最高レベルの大学院において、世界規模のダイナミズムを体感し多様なバックグラウンドを持つ仲間と切磋琢磨する機会を提供します。

https://www.shf.or.jp/community_health/scholarship_program/

(みりんのひと言)つまり、奨学生の選出過程では、「留学後のあなたが看護職のリーダー」になれそうかが審査されています。エッセイなどを通して、「あなたは将来はリーダーになる&なれるんだ」という意欲と能力を示しながら、審査官を納得させていく事が必要です。


給付対象者:看護師免許を持っている方

本奨学金の対象者は看護師免許を持っている方。あわせて、ある程度の英語力を持っている方を求めています。

・英語の運用力を示すTOEFL iBT80又はIELTS6.0以上を保有すること ※直近2年間の結果を有効とみなす(TOEFL Best score不可/IELTSジェネラル不可)
・日本の看護師免許を取得済みであること

https://www.shf.or.jp/grants/nursing_fellow/

(みりんのひと言)TOEFL iBT80又はIELTS6.0は、それなりに本気になって勉強しないと獲得できないスコア。私は、TOEIC880点を獲得後のTOEFLスコアは60点台。そこから英語を集中して学び、80点台をクリアしました。さらに、奨学金団体のサイトでは、IELTS6.5以上が望ましいと書かれており、応募の段階では6.0でも6.5を獲得することが求められそうです。アメリカの大学院の多くはTOEFLのスコアが求められますが、IELTSもOKであれば、個人的にはIELTSの方がスコアは出しやすい印象を受けました。ただし、IELTSはイギリス英語が中心なので、留学後はアメリカ英語との違いに少しだけ戸惑うかもしれません。

Sasakawa看護フェローへの応募にはIELT6.0(またはTOEFL80)以上の基準を設けていますが、フェローが奨学金を得て留学するためにはIELTS6.5のスコアを得ていることを条件としています。

https://www.shf.or.jp/information/21803

年齢制限: なし

年齢制限は設けられていませんが、下記のように記載されていました。

年齢制限はありませんが、修士・博士号取得後、実務、研究、教育その他の関連分野でリーダーとして活躍できる年齢であることを重視します。

https://www.shf.or.jp/community_health/scholarship_program/

専攻分野:公衆衛生学、疫学、保健政策、人口動態、生命科学・医療、看護学のアメリカ・カナダの修士または博士課程への進学者

下記の専攻分野に該当する方が奨学金の対象となるとのこと。

公衆衛生学、疫学、保健政策、人口動態、生命科学・医療、看護学などの分野の世界ランキングトップ10に入る大学における修士・博士課程への進学者

https://www.shf.or.jp/grants/nursing_fellow/

専攻分野に関しては、奨学金の意図と沿っていれば柔軟に対応していただける可能性がありそうです。

※上記以外の専攻分野でも本奨学金制度の目的に合致する場合には対象とする可能性がある。大学への入学申請をする前に本財団に相談すること。

https://www.shf.or.jp/community_health/scholarship_program/

また、大学に関しては「ランキングトップ10に入る大学」という指定があり、具体的には下記のような大学を想定されているようです。

■公衆衛生学分野
ハーバード大学
ジョンスホプキンス大学
ワシントン大学
ノースカロライナ大学 チャペルヒル校
コロンビア大学 など
■生命科学・医学分野
ハーバード大学
スタンフォード大学
ジョンスホプキンス大学
マサチューセッツ工科大学
カリフォルニア大学
ワシントン大学 など
■看護学分野
ペンシルベニア大学
ジョンスホプキンス大学
カリフォルニア大学 サンフランシスコ校
トロント大学
ワシントン大学
イェール大学
ノースカロライナ大学 チャペルヒル校 など

過去のフェローの方々は、下記のような専攻の方がいらっしゃる模様です。

エモリー大学公衆衛生大学院、Global Health
エモリー大学公衆衛生大学院、Behavioral, Social, and Health Education Sciences
カリフォルニア大学サンフランシスコ校、博士課程
University of Washington/Doctor of Nursing Practice (DNP)
University of Illinois at Chicago/PhD in Nursing
Duke University/MS in Population Health Sciences

支給金額: 年間10万米ドルを上限とする授業料等、及び月額1000米ドルの生活費

Webサイトによると下記の奨学金を給付するとのこと。

Sasakawa看護フェローとして認定を受けた修士課程進学者には2年、博士課程進学者には3年を限度として下記奨学金を給付(返済不要)。
1. 年間10万米ドルを上限とし、授業料、寮費、保険料、渡航費(1往復分)を修士2年間、博士3年間給付
2. 月額1000米ドルの生活費を支援

https://www.shf.or.jp/grants/nursing_fellow/

(みりんのひと言)このサポートは、他の奨学金と比べてもかなり手厚いです。金額面でいうと、政府系奨学金に匹敵する手厚さ。専攻分野などの条件が合致するのであれば、ぜひ応募したいですね。さらに、奨学金の応募ページには書かれていませんが、奨学生として選ばれると、キャリアカウンセリングや大学への応募書類のサポートが得られるようです。これは、かなり手厚い。

募集期間:年に3回募集

例年は、6月、9月、1月に募集の模様。

(みりんのひと言)過去の実績を見てみると、1月分は2月になることが多そうです。募集回数が多いのはありがたいですね。留学準備は忙しく、ついつい締切を逃したということもあるので。

合格発表:面接後2週間以内

面接日より2週間以内に連絡するとのこと。

募集人数:未公開

未公開ですが、今までの実績では年間に平均9名程度を選出している模様です。

パンデミックの只中に開始したSasakawa看護フェロー事業でしたが、3年目を迎え、フェローは総勢27名となりました。

https://www.shf.or.jp/information/21706

選考:書類選考&面接

他の奨学金と同じく、書類選考と面接で審査が行われます。どちらも日本語と英語での審査が行われるので、応募までにある程度の英語力をつけておくことは必須です。なお、面接は1人30分間です。

・書類審査(履歴書および日本語・英語小論文)
・審査員によるオンライン面接審査(日本語・英語)

申請書類:

履歴書と小論文のフォーマットはWebサイトからダウンロードできます。

・履歴書
・小論文(日・英)
・TOEFL/IELTSのスコアがわかる書類のスキャン、またはスクリーンショット(PDFまたは画像ファイル)
・日本の看護師免許証のスキャン(PDFまたは画像ファイル)

https://www.shf.or.jp/grants/nursing_fellow/

(みりんのひと言)ぜひ応募を考えるのであれば、すぐにダウンロードしてどんな項目を埋める必要があるのかを見始めると良いともいます。

エッセイ課題:大学院への進学理由、看護実践の向上のための努力と将来の貢献プラン

本奨学金では、下記のエッセイ課題に対して英語と日本語でのエッセイ提出が求められています。

1.大学院への進学理由
個人的なキャリアプランではなく、現在日本が抱える保健医療、看護の諸問題を取り上げ、それへの改善に向けて、自らがどのように貢献できるか、そのために大学院で何を学ぶかを、大局観をもって述べること。(800字以内)
2.これまでに、看護実践の向上のためにどのような努力をしてきましたか。(800字以内)
3.学位取得後、1.で述べた諸問題に対し、どのように貢献したいと考えていますか。(400字以内)

(みりんのひと言)エッセイ課題は、視座を高くして書くのがポイント。慣れていないと、一個人の小さな目標にとどまりがち。私自身も、自分で最初に書いたエッセイは、スケールが小さく、とても奨学金を受給させてもらえるというレベルではありませんでした。私は、優秀なカウンセラーの方に出会うことができ、ヒントをもらいながら、一個人の小さな目標から日本全体にどう貢献できるかというところまで、目標をスケールを大きくしていきました。できれば、先輩や留学経験者など周りの人からの客観的な意見をもらうといいと思います。

エッセイを書く際の考え方として参考になるのは、現フェローの方々のコメント。こうした視点でエッセイを組み立てると良いのだと参考になります。

これまで保健師として地域の母子保健に携わってきた、コロンビア大学進学の松丸莉茄さんは、「大学院では疫学を専攻します。健康をより大きなレベルで捉え、病気の原因を探り予防するための研究方法を学びたいです」と挨拶しました。
「Sasakawa看護フェローに出会い、海外に出て広い視野で医療や看護を捉える必要性を強く感じるようになりました」と語ったのは、救命救急センターで看護師としてキャリアを積み、ハーバード大学で急性期ケア領域における倫理的介入を学びたいと生命倫理を専攻する髙橋愛海さん。「倫理を理想で終わらせるのではなく、社会にどのように浸透させていけるのか考えていきたい」と意気込みます。
東京大学からカリフォルニア大学サンフランシスコ校博士課程に進学する鈴木はるのさんは、「高齢社会を迎えた国のロールモデルとして日本の優れた高齢者ケアを世界に発信するエビデンスを作りたい」、そのために「diversity & inclusionの進んだ米国で多様性を受容する感性を養いたい」と、留学の意義を述べました。

https://www.shf.or.jp/information/21706

また、選出された看護フェローに対して大学院の応募書類の指導を行ったという因先生の言葉も大変参考になります。この文脈は、大学院の応募書類ですが、これは奨学金の応募書類に関しても同じ。

それは、「あなたが何をしたいのかだけではなく、日本の社会、医療・看護界に対して何ができるかを考えなさい」ということです。
それぞれが、自らの関心分野について追究することを否定するわけではありませんが、それが将来、どのようにこの日本社会を良い方に変えることにつながるのか、看護職としての自分たちのできること、強みは何か。フェローとなったからには、それを使命として考え続けるよう、ご指導いただきました。

https://www.shf.or.jp/information/17988

私自身は看護分野が専門ではないのですが、このコメントを読んで、考え方は同じだと再確認しました。今まで自分ががんばってきたこと、経験したこと、そこから感じた日本の課題意識、その課題を解決するためには今の自分には何が足りなくて、その足りない点を補うために留学して会得し、将来の日本の看護にどう活かすことができるのかをこのエッセイ課題で書けば良いのだと思います。

過去のフェローの方々の留学先での研究の報告書を、こちらの過去の支援実績のページから拝見することができます。大学院への進学理由など、具体的なイメージをふくらませるために応募者の方は一度拝見されることをおすすめします。

合格者ブログ:

まだまだ新しい奨学金ということもあり、合格者の方の体験談はほとんど見つけることができませんでした。


奨学金URL:

最新情報はこちらの奨学金サイトで確認してくださいね。




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