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本が嫌いなら本を読まなくていいじゃない

今日、個人的に衝撃的な出来事があった。

普段からよくビジネス書を読んでいるものすごくクレバーなお方に

「ゆぴちゃんは言葉選びがいいね。話していると、ビジネス書を読んでいるみたい」

…と言われたのだ。

え?と戸惑った。

だって、わたしが、ビジネス書がめちゃくちゃ苦手だからだ。


あまり晒していない経歴かもしれないが、かつて、わたしが学んでいた学問は『文芸・ジャーナリズム』。物語を読むのが勉強で、珍しいことに、卒論は『小説』だった。

小さいころから本が大好きで、異世界へと自分を誘ってくれる物語をたくさん読んできた。

好きな作家は江國香織さん、島本理生さん、桜庭一樹さん、三浦しをんさん、京極夏彦さん、柳美里さん…というように、いわゆる『小説』しか読んでこない人生だった。

だから、社会に出たとき、「本が好きなんだー!」という人と出会い、どの作家さんが好きなんだろう⁉︎とワクワクして話を聞くと、誰1人として小説を読んでいなくて、基本ビジネス書なのにびっくりした。

なるほど。大人の言う『本』って『ビジネス書』なんだ。

…と解釈して、つまんないな、と思った。

ビジネス書といえば、お父さんの書斎に置いてある小難しい感じの本で、ノウハウ・メソッド・◯◯術みたいな内容で、ぶっちゃけ何が面白いのかサッパリわからなかった。小説のような疑似恋愛も異世界トリップも擬似感動も楽しめない。つまんない。

そうやって、ずっと避けながら生きてきた。

それが、否応なしに対峙しなくちゃいけなくなった転機が、早起きコミュニティ『朝渋』で、本の著者を招いてトークをする『著者イベント』である。

『新R25の編集長が登壇するから』という理由でふらっと行き始め、トーク内容をグラレコにまとめることに楽しみを見出し、なんだかんだこの半年、週1くらいのペースで参加している。

でも、各方面に怒られそうだけど、ぶっちゃけビジネス書は相変わらず苦手なのでちゃんと読めていないときもある。

難しくて、あんまりよくわかっていないときもある。

それが、イベントだとめちゃくちゃ噛み砕いて要点をまとめて話してくれるので、スルスルと頭の中に入ってくるのである。

とはいえ、わたしはイベント中、グラレコにあまりに必死なので、実はそんなに覚えてないんじゃないか、と思っていた。

ところがどうだろう、今日その例のクレバーな人と話した内容を思い出してみると、『偏愛』『ラベリング』『抽象化』『ミニマムライフコスト』『安心安全のコミュニティ』『分人』

…全部、もともと自分の辞書には載っていなかったものばかりだ。

それで、「賢いねぇ」なんて言われてしまった。全部受け売りなのに!(笑)

とにかく、それで思ったのが、「イベントはとりあえず参加するだけでも血肉になる」んだな、ということだ。

そして、なんとなく、イベントに行ったらアウトプットをしなければいけない、という風潮があると思う。

でも、そのアウトプットは必ずしも文章や絵である必要はなくて、会話のなかでサラーッと「誰かに話すだけ」でこんなにも身につく。自分のものにできる。それは形として見えないかもしれないけど立派なアウトプットなのだ。

そして、本を読んでいないとイベントに参加するのが後ろめたい気もする。でも、わたしのようにビジネス書が苦手な人は、本を手に取ることすら億劫だ。

でも、それでいい。イベントでちょっと本のエッセンスを取り入れるだけで、見える世界が変わる。そして、もっと知りたくなって結局本を手に取ることになる。

だから、本が苦手な人ほどイベントに参加してほしい。なんかよくわからなくてもボケッととりあえず話を聞いてほしい。そこで、本のカケラが胸に少しでも引っ掛かれば、会話のタネになる。血肉になる。大嫌いな本を手に取るきっかけになる。

そういうところから、『入る』のもありなんじゃないか、と思う。


Photo:Shun Nakayama(@nk_shun



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