「謎プロデューサーvs俺」

割引あり

Ver1.2  改行、句読点、一部表現を加筆修正。5:46up date

友からの電話。


古からのヲタ友人から相談があると連絡が。
彼には18歳の娘さんがいる。幼い頃からの英才教育で彼女もヲタであり、年頃らしいヲタライフを満喫している。(なんせ親がハンパねえヲタだから)

俺は彼女が子供の頃から知っており、この年頃の娘には珍しくmilktubの音楽が好き!と言ってくれて学校では軽音学部に所属し、バンド活動を行い自分でもTikTokとかに歌ったものをアップしてたりしてるそうで。しかも俺が見ても可愛いときてる。
親父がブサイクなのに。嫁さんの血が優勝したのだろう。

「相談ってのはさ、娘のアカウントにスカウトみたいなDMが来ててさ。それの真贋がわからないから相談に乗ってほしいんだよ。」

ふーん。

「娘的には自分が認められた!って気持ちが大きいらしく、とはいえ知らない人にホイホイ乗っかるのも怖いからって相談されたんだよね。」

聡明で何よりだ。教育が行き届いておるの。
んでどっかの事務所なの?

「いや、フリーランスでやってる音楽プロデューサーで、アニソンとかゲームの曲とかで数多くの曲を手がけたってDMに書いてあった。」

まぁフリーランスでプロデューサーやってる人も知ってる人いるけどさ。

「んで、好きなアーティスト誰がいますか?って聞かれたから、お前の名前を出したんだよ。そしたら「あー、bambooね。よく知ってるわ。昔よく絡んだわ」って返事が来てよ。それでお前に聴いてみた訳。」

ほほう。名前なんつー人?

「⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎明って名前。知ってる?」

ビタイチ知らねえ。誰だよそいつ。

「マジかよwwwやっぱり嘘じゃねえかwww
ナンパか詐欺だよなぁやっぱり。検索しても出てこないし。」

100%とは言えないが、高確率でヤベエな。

「電話番号も書いてあるんだよな。」

マジかよ。じゃあ俺がお前に成り変わり保護者として電話していい?
俺の知り合いっつーんだったら俺の事知ってるだろ。
ちゃんとした人だったら俺が色々聴いて、大丈夫だったらきちんと紹介するけど。

「そうでなかったら?」

相応の報いが降りかかるであろう…。

「わかったwwwww」

という訳で臨時でお父さんになることになった。
もちろん娘本人も了承済みだ。この記事にすることも。

謎プロデューサーという存在

ここで解説すると、過去20年ぐらいで「謎プロデューサー」と勝手に命名している謎の生物に遭遇した事が10回ぐらいある。

自分がプロデューサーや代表を勤めていたゲームメーカーのGROOVER(2000年)からOVERDRIVE立ち上げの2006年頃の話であるが、コミケ等のイベントにおける企業ブース出展の為の公式コンパニオンを雇うべく、コスプレイベント会場でレイヤーの子に声かけたり、バンドをテーマにした作品を多く企画していた為、自社ゲームの曲を歌ってほしくてライブハウスを巡っては野生の女性シンガーに声かけたりしてた時期があった。

俺は自分の風体が胡散臭いのを重々理解してるので、レイヤーの子に声かける場合は故・総務の姐さんに声かけてもらって、改めて依頼内容の説明を俺がしてたり、M3やライブハウスに足繁く通い「この人の歌いいなぁ」と思った人に声かけたりしてた訳だ。DEARDROPSのPricoなんかもそうやって引っ張った。
当時は鵜飼システムと命名してた。

んで昔は以前在籍してた会社が汚かったり、独立後、立ち上げ当初でオフィスも狭くて打ち合わせスペースもなかったので「じゃあ詳細のお話を…」つって喫茶店とかで改めてお話をすることが多かったんだが、高確率で付き添いで男性が来る。

それはいい。
00年代初頭のエロゲ業界なんざ今と違ってまだまだアンダーグラウンドの領域だったし、自衛の為に第三者を連れてくるのは理解できる。
むしろ有能だと思う。

ただ、どういう訳か付き添ってくる野郎は例外なく自らを「彼女のプロデューサーです」って名乗ってくるのだ。100%だ。

エロゲ業界にいるとはいえ、一応真っ当な仕事としてオファーをするこちらとしては、「エロ」という単語がついてるわけで、変な誤解と心配がないように懇切丁寧に内容や条件などをこと細かく説明するつもりでいたし、実際していた。

声をかけた相手方も音楽畑一辺倒の方ばかりでヲタク業界に興味がなかったり、縁がない方もいたのでゲームとはいえ、『エロ』というキーワードに対して構えてしまうのは仕方がない事だった。なのでボディーガード的に男性を連れてくるのも理解はできた。

最初の頃は俺も業界歴が浅かったゆえ素直に「ほえー、専属でプロデューサーがおるんやなぁ…」と間に受けてた。

だが、なんというか…。妙に好戦的なんだよね。
ほぼ全員「俺は業界に詳しい」みたいな。「⚪︎⚪︎さん知ってる」みたいな。

いうて零細会社なんで、予算の上限もあったりして条件合わなかったら、それはそれで仕方ねえなぐらいでこちらは考える訳だ。
ダメだったら次行くかぐらいの。それぐらい00年代初頭のエロゲ業界って「エロ」の部分が妙に先走って、ヲタ業界の中でも、あまりイメージ良くない感じを受ける事が多かった。

偏見から入るので時々イライラさせられる事も会ったものの、お願いする立場なので辛抱強く解説した。さらに風体が今より数段ヤバかったので、それも加味して我慢して根気よく交渉を続ける事が多かった。

ある時ふと、その謎プロデューサーに「今まで彼女をプロデュースする上で、実績的なものはあるんでしょうか?」と聴いた。
そしたら急に口篭って「いや、商業的には…特に…。主に彼女のメンタルやボディーガード的な…」なんて事を抜かしおったのだ。
「え、作品とかに関わられた事があるんじゃないんですか?」とダメ押しで聞いたら「そういうのは…ないですね」と。「え、付き合ってる彼氏さんとかですか?」と聴いたら「違います」だと。

お前プロデューサーと違うじゃねえか!!!!!
ただの頼まれて騎士ヅラしてきた素人じゃねえかよ!!!!
彼氏だったら100歩譲ってわかるけどさ!!!!
彼氏でもないんかい!!!!!

それがわかった瞬間、「あ、こういう人と関わっちゃアカンな。めんどくさ!」というスイッチに切り替わり「忙しい中、お時間ありがとうございました」つって打ち切るようになった。

ボーカルにもいた。音源聴いて非常に素晴らしい歌だったので、ウチのゲームで歌って欲しくて、ご挨拶兼ねて打ち合わせセッティングしたら、謎プロデューサーが現れて「うちの⚪︎⚪︎はインディーズで1000枚売ってるんすわ」「オタクみたいな小さい会社で歌うのはあんまりないんですよね〜」(全部本当にこの通り言われた。当時グリーングリーンという作品でアルバム2万とか3万枚売ってるのに。)
「じゃあいいです。ありがとうございました」って即切したら、どっかで調べたらしく、その後しきりに売り込んできたが完全に無視した。
誰がそんな奴と一緒にやるかよバーカ。

そんな事もあり、「素人でなんも実績ないのに、とりあえずプロデューサー名乗ってマウント取ろうとする奴」を総じて謎プロデューサーと呼ぶようになったのだ。

そして対決へ…。

ちなみにここからのバトルの模様は有料だ。
200円ではあるが売上で娘ちゃんにマイク(SM58BATE)を買ってあげるのだ。
しかし初の有料記事がコレとは…。
(2023/08/15 22:21追記。300円でした。設定ミス。ごめんなさい。TwitterXでRTすると割引で150円で読めます。)
(2023/08/16 22:00追記。おかげさまでマイク買ってあげれました!ご購入頂いた皆様ありがとうございました。詳細は次のnote記事「初有料記事の御礼」に記載してます。)

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