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個別懇談会での変化球対応【教員】

僕は、基本的に懇談会は好きです。生徒のお家の様子に意外性を見つけることができるからです。保護者と会話のキャッチボールをするのは面白い。

でも、たまに変化球がくるのです。

①カーブ
学校の運営法やルールに対してのクレーム

②消える魔球
学校が把握していない、生徒のいじめられ事案発覚。

②デッドボール
他の先生へのクレーム

変化球の種類

この記事では、さまざまな球種についての打ち返し方や見逃し方を”具体的なフレーズ”を用いて、紹介します。

映像が浮かぶようにリアルに書きました。


■学校の運営法やルールに対してのクレーム


「ホームページの〇〇回生の情報の更新がないのですが・・・」
「制服ではなく、体操服登校をさせてはだめですか?」

学校全体へのクレーム

担任という仕事の範疇を超えての内容の場合、即答はNGです。学校全体で決定していく事項だからです。

その場で自分個人的な意見を言うのも極力やめておいた方がいいでしょう。保護者との衝突を避けるための淡い共感はかまわないと思いますが、「僕もツーブロックはOKだと思うんですけどね~」みたいな”学校を売る”発言はNGです。

時代遅れなルールや仕組みは、学校には存在します。が、それを生徒や保護者の前で否定するのは、教師陣のチームワークの悪さの示しているようなものです。

となりで生徒が聞いています。「先生個人は良いと思うのだけど・・・」と言った時点で、今後の生徒指導がやりにくくなるのです。

違和感のあるルールや仕組みは職員同士で話をして解決しておくべきです。

【変化球対応その1】

・学校全体に関するクレームには即答しない。自分の意見も極力言わない。

・「生徒や保護者が困っているという思い」には共感してOK

・学校のルールを自らの口で否定しない。

<具体的フレーズ>
・たしかに、〇〇だと保護者の方は手間が増えますよね~(-_-;)

・すみません、学校全体のことなので、この場ではお答えできないんです(-_-;)

・この件を学年(管理職)へを伝えさせていただきます。

 ベストは、変化球がきたその瞬間に、なぜそのような校則や運営法になっているか筋の通った説明ができることです。

「あとで検討します」、「またお返事させてください」と言うよりも話が早く済みます。「担任の先生もよく分かってないやん・・・」と思われることもなくなります。

ただ、その場で取り繕って無理やりひねり出した説明では、矛盾が生まれ、ツッコまれることになります。納得感のある返事をあらかじめ準備しておきましょう。


■学校が把握していない生徒のいじめられ事案発覚

 懇談時に保護者から「実は、この子〇〇さんから休み時間に手を出されているんです」など、担任教師が把握していないいじめ事案が懇談会で初めて出てくる可能性があります。

これは、焦る。

このパターンの変化球は3つの要因が絡んできます。

①担任が休み時間などに生徒のことをよく見ていない。

②被害生徒が担任の先生に、いじめられていることを相談しない。

③被害生徒の保護者は ”わざわざ学校に電話連絡して自分の子どもがいじめられていることを伝える” ということに抵抗を感じている。そのため担任と顔を合わせる懇談会に事案を伝えようと考えている

懇談で初耳の事案がオープンになる3つの要因

3つの要因に対するそれぞれのアプローチを書きます。

その1。担任が休み時間などに生徒のことを見ておくこと。担任の仕事は「生徒に”自分は見てもらっている”、保護者に”子供をみてもらっている”」と感じてもらい、安心感を与えることです。

その2。被害生徒が担任の先生に、いじめられていることを相談しなかったパターンの対応

「先生が加害生徒を指導すると、あとで加害生徒に仕返しされる」という報復を恐れている、または「先生に言っても変わらない」と先生を信用していない生徒は相談しません。

【変化球対応その2】

懇談前に、教育相談週間(生徒1人1人と1対1で話す期間)があるので次のように声をかけましょう

●何か困っていることないか? 先生も気付いていないことあるかもしれないから、些細なことでもあれば教えてほしい。

●すぐに(加害生徒を)指導しないよ。どうしていくかは一緒に決めよう。
 ※悪質な事案ではない場合

何でもかんでも すぐに加害生徒を指導しようとする先生に、自分の困っていること相談したいと思う生徒はいません。

生徒の気持ちを聴いて、指導するなら指導する。見守るだけなら見守る。「どうするかは一緒に考えよう」というスタンスでいることが大切だと思いますね。

でも、このように声かけをしても、話してくれない生徒は話してくれません。

法的な話になりますが、”上記のような声かけをした”という事実があることが、いじめ事案がこじれたときに”学校のお守り”となります。


その3。懇談時にいじめ事案が発覚するときの発覚の仕方を和らげる。

【流れが悪くなる例】
担任
「〇〇さん(懇談の生徒の名前)は、交友関係は問題ないと思います。休み時間などでは、友達と談笑していることが多いです。」

保護者
「先生実は・・・、〇〇は△△さんから休み時間に手を出されることが多いと言ってて困っているのですが・・・」

先生の目が節穴であることを自ら露呈する流れになっています。これを防ぐために、前置きの一言を添えましょう。

【変化球対応その3】

担任が話始める前に ”太字の前置きセリフ” をいれる。

担任
「正直なところ、中学生は裏で何が起きているか分かりません。職業病かもしれませんが、大人の見えていないところで何かトラブルが起きているものだとも思っています。ただ、自分見えている範囲では、
〇〇さん(懇談の生徒の名前)は、交友関係は問題ないと思います。休み時間などでは、友達と談笑していることが多いです。」

太字の前置きはいれる

この一言を言うことで、頭の中がお花畑で平和ボケしている教員という印象をもたれることは免れます。

僕は、36人全員の懇談でこの前置きのセリフを言うようにしています。

学校内でのいじめられ事案が発覚した場合は、把握できなかったことを誠実に謝り、どうしていくかを3者で考えましょう。


■他の先生へのクレーム

顧問の先生や、教科の先生の言動に対してのクレームが、懇談会で出てくるときがあります。

「お前らクソか!」という部の顧問の口が悪すぎると言ったクレームです。

となりに生徒がいるので、この場でオープンにしないでよ、と思ってしまいます。担任が保護者や生徒に共感して、同僚の先生のことを悪くいうことはできませんし、保護者を目の前にして、”生徒であるあなたに責任がある”と言うことも難しいです。

他の先生へのクレームがきたら、話題に笑いを含み、クレームをフェードアウトさせることが一番だと感じています。真向勝負は危険です。

今まで自分が言ってきたフェードアウトの言葉を紹介します

【変化球対応その4】

◉顧問の〇〇先生の暴言が気になる。口が悪い。
➡「まあー〇〇は、顔も怖いですからね~笑」
  「怖いのは顔だけにしてほしいですよね~笑」

◉顧問の〇〇先生の指導が厳しすぎる。
➡「△△さん(生徒の名前)の期待の表われだと思うんですけどね~」

「そんなに厳しいんですか?!  言ってやりましょう。今は昭和じゃなくて令和ですよってね笑」


この記事では、懇談の心得だけにとどまらず、具体的なセリフを書きました。

1学期の懇談会前に、この記事を読んでいる教員の方々のためになれば幸いです。

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