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おっさんだけど、仕事辞めてアジアでブラブラするよ\(^o^)/ Vol, 31 再出発

インド デリー 1日目
2023.0713 Thu

インドに入国して半月余り。ついにこの日がやってきました。
今夜、わたしは18時半発の夜行バスに乗り、今朝到着したばかりのデリーを発ちます。
行先は、ダラムサラです。1950年代後半に起きたチベット動乱の結果として、ダラムサラにはチベット亡命政府や多数のチベット難民が居住しています。
宗教や歴史に疎いわたしですが、『Seven years in Tibet』を観て、チベットという国に興味を持ちました。わたしたち日本人に極めて近い顔のつくりやその柔らかい表情、同じ仏教徒でありながら日本とは異なるチベット仏教、山の民らしく素朴で純朴な国民性。
そして、これは今のわたしにとって本当に大事なことですが、ダラムサラは涼しい! そう、ダラムサラは標高1500m前後。インドでありながら今の時期でも暑くないのです!

わたしの信条として、暴力の存在を認めたうえで、暴力反対です。
“みんな仲良く”なんて絵空事としたうえで、暴力反対です。

正直に告白しますが、インドに入国してからの半月間、本当に辛かったのです。なにが辛いって、この肌にまとわりつくような粘っこい暑さです。インドの暑さは、なんといいますか…。タイなどとも少し違い、直射日光にそれほど依存しない異常な不快感を伴うというか…。これは都市環境や激しい大気汚染とも関係があると思われますね。

いえ、ベトナム・ラオス・タイだって暑かったですよ、めちゃくちゃに。いずれの国も高い湿度を伴った暑さでしたし、充分に辛かった。でも、上記の3国は逃げ道がありました。
都会にはもちろん郊外だってド田舎にだって、10分も歩けばなんかしらのカフェ、もしくは売店があるのです。エアコンディショナーを備えているいないにかかわらず、店内は空間をうまく使って涼しく過ごせる工夫がしてあります。そして、日本の半分以下の金額さえ払えば、キンキンに冷えたクラッシュアイス入りのビールやソフトドリンクを一気に喉に流し込むことができるのです。
ほとんど茹で上がった身体と頭、それを一気に冷やす快感と言ったら、これはもう言葉で言い表せないものがあります。キッチンかトイレで水を借り、手と顔を洗いつつそこでも身体の熱を冷まし、そして椅子に座りなおして残りのビールをチビチビと飲む。飲み終わる頃には食欲も出てきて、なんかつまみながらもう1杯、とそんな具合に、暑さを上手くいなしながら緩い時間を楽しむことができるのです。

いま考えると、ベトナムのカフェ事情なんてサイコーでしたね。安い、美味い、どこでもある! 
こんな市場でも、勝手に椅子に座ってフルーツ喰いながら茶飲んで休憩しててOKなんですから。

ところが! インドでは! それができないのです(インドはでかいので、一応コルカタ・バラナシ・たぶんデリーの中心部でも、としておきます)!
巨大な国土を有するインドですが、人口もマジで多い! 貧富の差が激しく、従って都市部に人口が集中する傾向にあり、わたしのような旅行者が立ち寄るような街にはどこもかしこも文字通り人・人・人で溢れています。狭い路地は人・荷車・リキシャー・オートリキシャー・バイク・クルマでごった返し、なんだったらそれに加えて犬や牛まで糞を放りながらブラついています。路面店はブルーシートで日陰を作るのが精一杯で、椅子すら置くスペースがなく、地元の人たちは立ったままで朝飯や昼飯を食べています。カフェなんて、ローカルの一般的な金銭感覚から言うと、超贅沢以外のなにものでもないはずです。
そして! 気軽にビールが飲めないのは宗教上仕方のないことですが、インドは水質の問題でしょうか冷凍機の問題でしょうか、氷が一般流通していないのです。ベトナムやラオス、タイではドリンクに標準装備だった氷が基本的に無いのです。だからミネラルウォーターでもコーラでも、買って10分後には温くなってしまうのですね。これは本当に辛いです。同じコークを頼むにしても、ホーチミンなら路面店の椅子を適当な日陰においてキンキンに冷えたコークをずっと長く楽しめますが、コルカタならば最初の一息で750mlの半分ほどを流し込み、その後は徐々に温くなりつつあるコークを片手に路地を彷徨い歩く、そんな羽目に陥るのです。
もちろん探せば、そしてある程度の金額を出せば、たとえばコルカタにもカフェはあります。しかしそれらは人口比に対して極端に少なく、また金額もさることながら「コーヒー1杯でいつまでも居座んじゃねえよ」オーラが物凄いのです。たぶんインドの平均的な都市では、空調の効いた空間というのはそれだけで料金が発生するという認識なのでしょう。バラナシのマクドナルドでも入店後90分を過ぎたころに、「Excuse me, Sir.」とか言いながら店員が飲みかけのコークごとトレイを持っていってしまいました。…なんといいますか、ゆっくりと寛げないのです、インドのカフェでは。

路面の市場は同じでも、ベトナムとインドではやっぱり違う。
よく見てください。インドの場合、客が座ったりするスペースなんてどこにもありませんよ。

絶えることのない喧騒。他の国では決して体験することのできないことを経験できる国。それがインドです。それを求めて25年前のあの日、わたしはインドの地に降り立ったのです。在りし日のわたしは、疲れを忘れ興味の赴くままに路地裏を彷徨い続けました、でも、それはおそらく乾季の、暑くないインドだったのでしょう、詳細は忘れちゃいましたが。

バラナシで4~5日を過ごし、わたしは決心しました。
とりあえず涼しいところに行こう、と。
アーグラに寄るかとか、デリーはどうするかとか、ラジャースターン地方にも行きたいとか、そんなことはダラムサラで考えよう。そう思います。
加えて、そろそろこの旅の意義を考えるときでもあるという想いもあります。“旅の意義”という大層なものなど初めからないのですが、それでもやっぱり一度は立ち止まって考えることも必要だと思います。考えに考えを重ねてたどり着いた答えは、それがなんであれ意味があるのですから。
そして、いい加減に今後の旅のスケジュールを、インド→ネパールの後も考えないといけない時期に来ています。中央アジアにルートをとるのか、それともその前にイラン入国を果たすのか。
さらに、忘れてはならないのが、この旅の終え方です。
「イスタンブールを目指す」というのなんて本当に単なる思い付きですから、この際そんなことどうでも良いのです。物価次第では東欧にも行ってみたいし、比較的涼しい時期の東南アジアを経由して帰国するのも魅力的です。
いずれにしても“旅の終え方”を考えるというのは、“帰国してからの暮らし”を考えない訳にはいかないでしょう。なにを新たな生業にするのか? というか、なにの仕事に就くことができるのか? 住み込みかつおっさんという条件がある以上、選べる立場にあると考えてはいけないでしょう。そこには割り切りと思いきりが必要になるでしょうね、やっぱり。

これら諸々のことをじっくりと腰を落ち着けて考える。となると、やっぱりヒマラヤを眺めながらコーヒーを片手に、といきたいのです。

バスの時間が迫ってきました。
明日の朝、目覚めれば、そこにはヒマラヤが見えるかもしれません。
かの地でなにを想い、なにを感じるのか、いまから楽しみです。

顔のつくり、仕草、考え方や常識、そして宗教に環境。なにもかもが違います。
ここは中華圏でも西洋圏でもありません。本当にインドは手強いです。

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