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大きな力が働くとき

鹿児島空港の保安検査所前。
2月下旬はここにびっしりと人が並んでいたのだが、3月上旬は写真のとおり。ほんと人がいない。待ち時間ゼロで保安検査所を通り抜けることができた。

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帰りの機内。羽田発鹿児島行き最終便。
機内誌なし(所望すればくれるようだった)、飲み物のサービスもなし。乗客は機内前方に20人ぐらいだったろうか。キャビンアテンダントの方々は手持ち無沙汰そうだった。

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東京で、昼に入った洋食屋さんもがらんとしていた。店内は私と友人、後から入ってきたスーツ姿の男性がひとりだけ。

宿泊先のホテルもお客さんが少なかった。朝食会場のレストランの照明は一部しか点灯されていない。食器がカチャカチャとふれあう音、料理の追加を知らせるスタッフの声は聞こえない。ビュッフェをやめ、それぞれのテーブルに朝食のセットを運ぶスタイルになっていた。いつもなら、色とりどりの料理やサラダ、果物が盛られた大皿が並べられるスペースは空いたままだ。使われない重ねられた取り皿には、クロスがかけられている。

空いた東京は快適だけれども、ちょっとさびしいものだ。

この感染症はかんたんには収まらないだろう。
こんなリスクがじつは身近にあったのだと知ってしまった以上、私たちはコロナ以前とまったく同じ生活を取り戻すことはできないだろう。働きかた、暮らしかた、学びかたは変わらざるを得ない。

ただそのことは、ネガティブな面ばかりでないのかもしれない、と最近思うようになった。

今後は、これまでにない形で社会活動や経済活動を営めるよう、知恵をしぼっていく必要がある。その過程で私たちは進化するはずだから。

本当に必要なもの、大切なものはなんなのか。それに合わせて、めざすべき方向を決め、行動を変えざるを得ないだろうから。

フリーランスはさいわい、その「これまでにない形」を自分で選んで試しやすい点では恵まれている。「家にばかりこもっている」と思うと気分は沈むが、「新しいことをやってみる時間ができた」と考えれば見えるものは違ってくる。

美容家の小林照子さんの著書『これはしない、あれはする』にこんな言葉があった。

よくないことが起きた時は、
人生がよい方向に変わるために
大きな力が働いたと考えなさい。

「大きな力」はやってきた時は一見、ネガティブなものにしか見えない。

しかし、その「大きな力」は、コロナ以前からの、しばらくは解決しそうにないと思われた問題に私たちがいよいよ手をつけるタイミングをつくってくれた。そう考えてみたいと思う。

働きかたの選択肢を増やすこと。男性も女性も、家事と仕事をになうのがあたりまえになるような仕組みをつくること。物理的なオフィスや学校に依存しない、働きかたや学びかたの形を考えること。

大きな力が働くいまは、じつはチャンスなのかもしれない。