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SEとオーケストラ


マエストロ小澤征爾さんの訃報

 中学生の頃、CDで初めて小澤征爾指揮のホルスト「惑星」を聴いた。あの時の衝撃は忘れない。

虐めや理不尽さ厳しさで苦しい時、「火星」を何度も聴き立ち上がった。
当時はYouTubeなど無く、音楽を何らかの形で入手するにはお金が必要だった。定期テストで高得点だったらアルバムを買ってもらう、そういう時代だった。
 先程まで、ブラームス交響曲第1番を聴いていた。昨日から3回くらい。

次は、チャイコフスキー弦楽セレナーデ。

祈りながら聴き続ける。

見える景色

 オーケストラの魅力、それは音でありながら、見たこともない色と景色が「見える」からだ。自分はそれが普通のことだと思っていたのだが、「共感覚」という言葉を大人になってから知った。
吹奏楽を長く続けてきたが、自分に演奏のセンスは全く無い。ただ、音の違いが色や景色でわかる。同じ曲でも、指揮者や演奏者の違いは音のみから得られる視覚で理解できる。
 小澤征爾指揮の音楽から自分が見た景色を表現しようとして、今語彙力の無さに地団太を踏んでいる。言葉というのは実態の無いことが先で、そこに当てはめたものならば、近しいものはあっても一致したものを探すのは難しいのではないか。
荘厳、緻密、生命力、重厚、数学的、冷静な情熱、自治、自尊
それ以上のものを、長らく頂くことができた。

専門家でも熟知している訳でもない

 吹奏楽歴が長かったとはいえ、1ファン、一般人、ただのSEである。
小澤征爾さんの訃報に際し、何かを発信することに烏滸がましさはある。
しかし、悲しさと感謝で一杯なのだ。
専門家でも熟知している訳でもないが、好きなものは好きと言いたいし、有難うございましたと伝えたい。
 相変わらず仕事は辛いが、こうして生きている実感がある。
微力であることに変わりはないが、感謝の気持ちを行動で表すならば、中学生の頃の感動と立ち上がったことを思い出し、前進することだと思う。
 小澤征爾さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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