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閉業温泉の記憶 人吉温泉 うぐいす温泉

最後に行ったのは写真データの日付によると、2014年の2月でした。
人吉市内のど真ん中、繁華街の隅にある公衆浴場です。
行った当時すでに営業日は奇数日限定。しかも午前中のみの営業でした。
なかなか遠方から入るにはハードルが高く、人吉に宿を取って、泊まった翌朝に行った覚えがあります。

番台には上品なおばあちゃんがいらっしゃいました。
奇数日営業なのは、おばあちゃんの姿を見て納得です。
なかなかの規模の温泉を、年老いた体で管理するのはかなり大変だったのではないでしょうか。
現実、脱衣場はかなりの年季が入っており、トイレの水はすでに流れる状態ではありませんでした。温泉の水をバケツで汲んで流しておきました…。

脱衣場。床はピカピカでした。
つながっている浴槽

お風呂は内湯が3つありました。源泉が直接投入されている7~8人が入れる浴槽と1人くらいしか入れない浴槽、そして、浅い浴槽とが並んでいます。源泉がドバドバ投入され、それらが溢れて他の浴槽に流れ込んでいく仕組みです。

源泉投入浴槽

お湯は冬に入ったためか、少しぬるめに感じました。
うっすらと茶色い色がついていて、ぬるつる感のある肌触りの良い温泉でした。人吉温泉の王道な泉質です。人吉に来たなぁ…。と思います。
じっとしていると少しですが気泡もくっつきます。

朝の陽差しが注ぎこむ浴場

浴槽はかなり深めでどっぷりとお湯に浸かることができます。
ゆっくり入浴させていただきました。しかし、最初から最後までお客は私1人だけでした。これでは経営も厳しそうです。

あれからもう10年近くが経ちました。温泉はgoogle map情報だと閉業となっています。
おばあちゃんは元気だろうか…。ふと思い出して、書いておこうと思い、筆をとっています。

あの時、泊まってでも温泉に入っておいてよかったと思うとともに、おばあちゃんの「また来てくださいね」という声と優しい笑顔が思い出されます。


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