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私が初めての親子旅に京都を選んだのは北欧カフェがあったから


突然訪れた2人旅のチャンス

去年の春のこと、夫が泊まりがけの出張に行くことになった。その時期は私も娘も日常に疲れてしまっていて、そのタイミングで私たちも外出してしまおうと思い立った。
1人で5歳になりたての娘を遠くに連れて行く自信はなかったけれど、それ以上に日常から逃げ出したかった。
そんなマイナス思考から始まった旅行計画、当日まであと1週間しかない。
場所は私が独身時代から大好きな京都に決めた。

京都にはフィンランドがある

ある程度土地勘がある場所という他にも、京都に決めたのには理由がある。
私が本当にいつか行ってみたい場所、フィンランド。
ヘルシンキにカフェアアルトというカフェがあり、その2号店が京都にあるというのだ。(なんと私たちが訪れて1ヵ月しないうちに閉店してしまい、今はない。)
娘は私の影響を受け、週末北欧部のchikaさんの本を眺め、実写化されたドラマ「北欧こじらせ日記」の録画を私以上の回数を見、休日に私と一緒に粗びきカルダモン入りのシナモンロールを焼く北欧ファンなので娘もきっと気にいってくれるはず。
現実から逃避したかったのもあって、遠く北欧を感じられるのはよさそうだ。
神社やお寺は当日の天気次第、ここを旅の目的地にしようと思った。

憧れのカフェアアルト

滞在したホテルから夕方電車で移動し、暗くなった街を歩く。
普段、「街」と表記されるような場所に住んでいない私たちにとってそれだけでも大冒険。
まだ5歳の娘に至っては、暗くなってから外出するなんて経験はほとんどなくそれだけでもテンションが上がっていて、でも少し不安そうで、私の手をぎゅっと握りながらピョンピョン飛び跳ね歩いていた。
やっと着くと、平日だからか先客は1組だけ。
子連れだったので混んでいたらどうしようと思っていだけれどほっとした。
空間も家具も本当に素敵で、いつの日か辿り着きたい本店に想いを馳せた。
小さな娘と2人、シナモンロールとサーモンのスープで夕食。
シナモンロールは娘の顔ほどの大きさで、私たちが作るものよりぺたんこだった。
サーモンのスープにはディルが入っていて、娘が食べられるか心配したが美味しい!と言ってたくさん食べてくれた。
一通り食事を終えた静かな空間で、ブルーベリージュースに刺さったストローを回している娘。
「こうするとまがもつんだよ」
こうすると間が持つんだよ。正確な言葉ではないかもしれないが、向かい合ってコーヒーを飲む主人公たちがスプーンでそれをかき混ぜ、その音を聞きながら静寂を楽しむ。北欧こじらせ日記でのセリフだ。
意味が分かっているのかいないのか、娘に愛おしさがこみあげてくる。
私たちは静寂も楽しめる。この空間に一番似合う言葉だと思った。

たった1つのカフェを目的地にしてみて

帰りは普段だったら娘はベッドに入っている時間を過ぎていた。
でもホテルまで頑張って歩いてくれて、旅の目的は達成された。
私達親子は、京都やフィンランド以上に遠い場所に来ることが出来た気がして、思ったより娘が大きくなっていたこと、日常の問題に立ち向かっていくことは自分次第だということ、ぼんやりした不安がまるで眼鏡の度があったようにくっきりと見えてきた。
ただ、カフェに来ただけなのに。
でも今まではそれすらしなかった。
人生を変えたいなら時間配分・人間関係・環境を変えなさいと聞いたことがある。
旅行は精神的な部分で環境を変えるという事に当てはまるのかもしれない。
毎日過ごす場所は変えにくいけれど、休日を過ごす場所は変えられる。
娘もこの旅で気分転換できたのか、その後少し落ち着いて過ごすことが出来た。…と思っていたけれど、本当は私かもしれない。
私がリフレッシュ出来て、娘の成長を感じられて、娘を信じることが出来たから娘が変わったように見えたのかもしれない。
とにかく、この旅で私たちは(私は)日常に立ち向かう気持ちを思い出すことが出来た。
自分は出張だというのに、快く送り出してくれた夫に感謝である。
「つぎはパパもごあんないする!」と言った娘。
京都アアルトはなくなってしまったけれど、本店はある。
今年はみんなでたくさん旅しようね。

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