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保育園へ送り出すためにママがかける短い魔法


朝のおまじない。娘とわたしの手の甲に「ミスト状の化粧水」をかける事。

4月から入ったこども園、最初の1週間は連れ出すのに本当に苦労しました。そんな中、苦し紛れにしたおまじない。おまじないと共に、これでママと娘は繋がっている事、ママは手の香りで娘を必ず思い出すことを添えました。ママの真似をしてお化粧するのが好きな娘は、ふりかけてもらった香りを嗅ぎ少し嬉しそうでした。『さみしくなったら、クンクンするね』そう言って、いつもより少しだけ前を向いて園のお部屋に入っていきました。

その日、迎えに行くとすぐに『クンクンのこえきこえた?』『ままのクンクンのおともきこえた』と確認してきました。ちゃんと聞こえたし、ママもちゃんとクンクンして娘を思い出していたよと伝えると、少し安心したようでした。

娘もわたしもそれぞれの場所ですぐに手を洗っているので香りは消えています。ただ、おまじない成分は残っていて、私は自分の手を見た時に娘を想い、きっと娘も時々ママを思い出してくれたのだと思います。

数日続けたおまじないも、だんだんと日にちが空き、休み明けだけになり、、とうとう5月には、必要なくなりました。

『クンクンのこえきこえた?』という甘えた声は、『○○ちゃんがね___』『○○せんせいがね___』『きょうはきゅうしょくおかわりしたよ』という言葉たちに代わっていきました。

それでやっと気が付きました。このおまじないに救われていたのは私だったのだと。自分の手から離れていく娘と繋がっていたかったのは私でした。たった1か月でおまじないを忘れてしまった娘。建前上は「頼もしいです!」
本音は少しさみしい。
きっとこれからそんなことの繰り返し。

昨日娘が園から小さな花を持ち帰ってくれました。『いちばんこのはながかわいい!ママにあげたいの』と言っていましたよ、と先生から教えてもらいました。

娘は毎日がんばっている。たくさん遊んで、先生やお友達に気持ちを伝えて、時々ママを思い出して。おまじないがなくても。本当にがんばってくれています。

娘が初めて寝返りするところも、初めて歩くところも見ることができました。これからはきっと「いつのまにか」が増えるのだと思います。

それでも。

娘が困ったとき、辛いときにはその時々にあったおまじないをかけてあげられたら。親としてこんなに幸せなことはないと思うのです。
魔法を使える期間はきっと短いから。

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