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地球儀をまわす


「カーボベルデって、どこにある?」
問いかけると、息子は地球儀をゆっくり右回転させた。
「あ…」一点を凝視し数秒。
「あった」と指をさす。
私はどこどこ?と地球儀を覗き込んだ。
「ここかぁ。初めて知ったよ」
「うん。僕も。アフリカ大陸の横だね。セネガルに近い」

2023年夏。バスケットボールの世界大会が沖縄で開催された。
オリンピック出場が決まる大事な試合。
日本の対戦相手は
「カーボ・ベルデ」
初めて聞く国名だった。
どこに位置するどんな国なのか。
地球儀で調べてみると
ちゃんとそこに存在していた。
「ここから日本まで遠かっただろうね。世界中から1ヶ所に集まってくるってすごいことだね」と息子が言う。
地球儀で確認するまでそんなことを考えたことはなかったが、たしかにそうだなと思った。

親戚にプレゼントしてもらった地球儀には
その国に生息する動物の絵や名所が描かれていて、スイッチを入れると光る。美しい上に優れものだ。
だが、プレゼントされた当時、息子はまだ地理がわからなかったしビュンビュン雑に回して壊してしまってはいけないと思い、手が届かない場所に飾っていた。
最近になって、そういえば地球儀があったと思い出し、いつでも気軽に触れることができる場所に移動させた。地球儀解禁である。
それからは地理でわからないことがあれば地球儀をまわすようになった。何もなくてもただ眺めているだけで楽しい。
変な言い方だが地球が身近になった。

地球儀をまわすと、
ニュースで見たり聞いたりしているだけではイマイチわかっていなかったことがくっきりしてくる。
国の大きさ、どこに位置しているか。
知識だけではボンヤリしていたあれこれ。
例えば「地球の7割が海」だということも、青い地球儀を見ればわかるし、世界がつながっていることに気づく。とっくに知っていたはずの当たり前のことに感動する。
そして自分がこの丸い地球上に存在しているのだと実感する。
すると、今まで散々耳にしてもどこか遠いことのように感じていた地球上で起こっている問題を自分ごととして感じられるようになってきた。
それと同時に急に焦りのようなものも出てきた。

未来のためにできること。
まずは地球儀をまわしてみてはどうだろう。
地球が青いことも丸いことも回っていることも、自分がそこに存在することも実感して教科書やニュースで知ったことを自分ごとにする。
私はここからのスタートを提案したい。



#未来のためにできること

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